開幕投手を務める日本ハム上沢直之投手(25)が、最高の手応えをつかんで初の大役へ向かう。開幕前最後の調整登板としてDeNAとのオープン戦(横浜)に先発。ここまで直球の質、軌道に悩んできたが、志願で続投した6回に投げた直球に「これだ」と、求めていた感覚をよみがえらせた。不安を一掃して、開幕戦の29日オリックス戦(札幌ドーム)に臨む。

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上沢はホッとした。ようやく思い描いた真っすぐが、決まった。6回先頭の楠本へカウント3-1からの5球目。145キロの直球。「これだ。こうやって投げていたんだ」。マウンド上で忘れていた感覚が戻った。初回にソロ本塁打、3回に右前打を浴びていた楠本を、最後はフルカウントから146キロ直球で見逃し三振。「バッターの反応が明らかに変わった」と手応えは確信に変わった。

5回で降板する予定だった。「シーズンに入ったら、もっと長いイニングを投げたいので『6回も投げさせて下さい』と。本当に言ってよかった」。米アリゾナキャンプ中から真っすぐだけがイメージ通りにいかなかった。登板間は昨季の投球の映像を見返し、キャッチボールなどでも感覚を探したりと苦心してきた。

この日も序盤は、しっくり来なかった。中堅を守る西川からは、いい時との違いをアドバイスされていた。「体重移動の時に猫背になってしまうとか、いつも見ていてくれて教えてくれる」。指摘されたポイントをイニング間のキャッチボールで意識するなど、試行錯誤を繰り返し、徐々に感覚と体現がフィット。「自分の感覚とすり合ってきたら、抑えられるんだなと思った」と、続く中井も直球で空振り三振。不安は一掃された。

これで、29日の開幕戦へ堂々と向かうことができる。「最後は完全に体重がのったボールが投げられていた。こうやって腕を動かして、こうやって体重移動していたなぁと、試合中にハッとした感じだった。本当に良かった」。日本時間2月13日に米アリゾナで開幕投手を発表した栗山監督も「信頼しているから早い段階で言っている。大丈夫」。万全を整えた上沢が、自信を持って開幕投手の大役を全うする。【木下大輔】

▼日本ハム上沢が、主軸筒香から2三振を奪うなど、5回2/3を投げて9奪三振。昨季は25試合に登板し、チームトップの151奪三振。1試合(9イニング)を投げて何個三振を取るかを示す奪三振率「8・22」は楽天則本、岸、西武菊池に次いでリーグ4位だった。今季の実戦はこの日まで5試合17回2/3に登板し、奪った三振数は25。奪三振率は「11・84」と昨季を上回っている。