侍、出てこい! 阪神矢野燿大監督(50)が18日、20年東京オリンピック(五輪)の日本代表に選出されるように大号令をかけた。

侍ジャパンは17日にプレミア12を制し、10年ぶりの世界一に輝いた。しかしそのメンバーに虎戦士は不在。北京五輪出場経験のある指揮官は、代表入りがチームのためにもなると力説。近本光司外野手や高橋遥人投手、梅野隆太郎捕手ら若虎が日の丸を背負うことを願った。

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10年ぶりの世界一を決めた侍ナインの輪に、阪神の選手はいなかった。歓喜から一夜明け、矢野監督は号令をかけた。

「日の丸を背負うというのは責任もある。また、普段は野球を見ない人が野球を見てくれたり、いろいろなことがある。そこを経験してチームに帰ってくるということは、成長できることになると思う。もちろん、来年のオリンピックには誰か選ばれるようになってもらいたい」

自身は北京五輪で代表の重圧を背負った。自軍の選手も国際大会を経験してほしい。そんな願いが込められていた。梅野や高橋遥が代表候補に挙げられる中、日の丸に近い存在が近本だ。社会人時代には、18年アジア大会の代表にも選出された。今回の代表メンバーでは負傷離脱した秋山や菊池涼らがメジャー移籍すれば、枠が空く可能性がある。虎のリードオフマンのチャンスは膨らむ。

今季、新人ながら36盗塁で盗塁王を獲得した近本の足は最大の武器だ。侍入りについては、冷静に現在の立ち位置を分析した。「何かのスペシャリスト(になるの)は一番、いいと思うんですけど、僕はそんなに力もないので。しっかり自分のやれることをやっていくだけ」。足だけでなく、リーグ新人最多安打記録を更新する打力も兼ね備える。

秋季キャンプでは、武器にさらなる磨きをかけている。筒井外野守備走塁コーチとマンツーマンで、盗塁の悪癖を修正。スライディングの際にスピードが減速する弱点克服を目指し、ロスなくベースに到達することを追求している。今季は「15」の盗塁失敗があり、成功率は7割6厘。近本は「2年目なので、そういうところが求められると思う。大事な場面でしっかり成功して、いい流れをもっていけるように」と成功率アップを意識する。この日の二盗タイムの計測でもチームトップを計測。プレミア12では周東の俊足が注目されたが、近本も走力では負けてはいない。

代表メンバーが1人でも増えれば、チーム力は上がる。矢野監督は「俺らも精いっぱい頑張るし、選手自身も意識してやってもらえれば」と後方支援を約束。虎から多数の侍出現を待ち望んだ。【奥田隼人】

◆阪神選手の侍での活躍 鳥谷はWBC13年大会2次ラウンド台湾戦で、1点を追う9回表四球で出塁し、打者井端のとき意表を突いて二盗を敢行。井端の適時打で同点のホームを踏み、勝利に貢献した。起死回生の走りは「神走塁」と語り継がれている。また藤川は06、09年WBCと08年北京五輪で計12試合に登板。なお福留は中日時代のWBC06年大会に出場し、準決勝韓国戦で勝利に導く代打2ラン。カブス在籍の09年大会にも出場し、連覇に一役買った。