今季、大腸がんから戦列復帰した阪神原口文仁捕手(27)が21日、神戸市内のチャイルド・ケモ・ハウスを訪問し、寄付金を贈呈した。小児がんなどの医療施設で、初めて慰問。100万円の寄付金を同施設に手渡した。大病と闘う子どもたちとキャッチボールなどで触れあって気持ち新た。「シーズン通した活躍が目標」と意気込んだ。今年は闘病したため6月からの1軍合流だったが、来年は正捕手挑戦など、プロ初の1軍フル参戦を目指す。

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大病と闘う子どもたちと触れあった原口は武者震いした。この日は小児がんなど医療ケアが必要な子どもや家族のための施設「チャイルド・ケモ・ハウス」を訪問。ユニホーム姿で現れるとキャッチボールなどに興じた。自らの大腸がん発覚後、初めて慰問。使命感をにじませ、力強く言う。

「僕らが元気な体で普段の生活や野球できるのは当たり前でないとあらためて思いました。本当に元気をもらった。また頑張るキッカケの1つになりました」

原口は昨年末、人間ドック受診した際に、大腸がんが見つかった。自身のツイッターなどを通じて多くの人たちから励まされた。今年3月から大腸がんの啓発チャリティーグッズ「グッチブレス」を発売開始。この日は利益の全額にあたる64万円と原口自身の寄付と合わせて100万円の寄付金を同施設に贈呈した。

自らも闘病し、2月の春季キャンプに参加できなかった。3月に2軍合流。1軍復帰は6月4日ロッテ戦で、復活タイムリーを放った。その後もサヨナラ打や球宴の2戦連続アーチなど奮闘し、最後まで2軍落ちせず完走したが「グラウンドに戻ったら結果がすべて。満足していない」と振り返る。43試合出場で打率2割7分6厘、1本塁打。捕手先発も7戦にとどまり、来季に思いをはせた。

「病気で、シーズン1年間(1軍に)いられなかった。まずは、開幕からシーズン通して活躍することを目標にやっていきたい」

来季は梅野が君臨する正捕手への挑戦など1軍デビューした16年以降、プロ初の年間フル参戦を目指す。「捕手で出ることが一番の目標。プラス、チームの勝ちに貢献できるポジションや打つ方でも貢献したい気持ちが強い」。11月は秋季キャンプに参加せず、鳴尾浜で練習を継続。一塁先発や代打など、出場機会増を狙う。この日、子どもから「プロ野球選手になるためにどうしたらいいですか」と尋ねられ「自信を持って頑張ること」と答えた。胸を張って堂々と闘っている姿を、率先して示すつもりだ。【酒井俊作】

原口は来季もチャリティー活動を継続する。来年1月18日には和歌山・すさみ町でチャリティーランフェスティバルを開催。先着3000人で、11月30日まで参加者を募る。「参加費もチャリティーで、チャイルド・ケモ・ハウスや他の団体にも寄付していきたいと思っているので、ぜひ多くの方に参加していただきたい」と呼びかけた。チャリティーは来シーズン中も実施する方向で、方法を模索中。「まだ考えている途中です。成績で寄付も考えています」と話した。