阪神矢野燿大監督(50)が21日、G倒大号令をかけた。大阪市内のホテルで球団納会が開催され「強いジャイアンツを倒せるようなチームに、全員でなっていきましょう」とナインに呼びかけた。今季はリーグ3位に入ったが、優勝した巨人にはシーズン10勝15敗と最も分が悪く、クライマックスシリーズのファイナルステージでも敗退。来季は宿敵を倒した上で、15年ぶりのリーグVへ突き進む。

  ◇    ◇    ◇

胸に刻まれた悔しさは来季晴らしてみせる。そんな思いを矢野監督が言葉に乗せた。球団納会でスタッフや選手をねぎらった後、壇上からG倒を宣言した。

「この1年ステップアップできたと思います。でも目指すところはもっともっと上にあります。強いジャイアンツを皆で倒せるようなチームに、全員でなっていきましょう」

あえて永遠のライバルをクローズアップした理由がある。シーズン最終盤に6連勝を飾り、3位に食い込んだ。しかし、巨人には10勝15敗。最も借金を背負ったカードだった。勝ち上がって臨んだCSファイナルステージでも1勝4敗(巨人に1勝のアドバンテージあり)日本シリーズ進出はならなかった。「CSに行けたとか、最後6連勝して意地は見せられたという部分と、反対側では巨人にやっぱり勝てなかった部分が課題で出た。ジャイアンツを意識して戦っていくことで、絶対上に近づいていける。今からジャイアンツにどうやったら勝てるかというのも考えていく必要があるのでは」。宿敵を倒すことが、来季15年ぶりのリーグVへの近道だと考えた。

ファンへの思いも背負って戦う。「ファンの人に振り返ってみてどう? と聞くと、ジャイアンツに勝ってほしいとか、ジャイアンツに負けて悔しいというのは、出ると思う。勝つことでタイガースファンも喜んでくれる」。もちろん、美酒には戦力の底上げが欠かせない。この日も壇上から「今年2軍でなかなかチャンスのなかった選手たち。今年も島本、守屋という2人がはい上がって戦力として活躍してくれた。まだまだやれるはずです」と、呼びかけた。

8年連続で負け越している巨人をたたき、リーグVを-。「来季ファンを思いきり感動させ、この時期思い切り喜べるシーズンにしていきましょう」と力強く宣言した。【松井周治】

◆今季の阪神VS巨人 初戦の4月2日から同21日まで6連敗。巨人戦での開幕6連敗は、1リーグ時代も含め4度目という屈辱だった。そこから4連勝と持ち直したものの、3連敗と5連敗を各1度と連敗が続いた。これで12年から8年連続負け越し、08年から12年連続勝ち越しなしに終わった。CSファイナルステージでも巨人と対戦したが、アドバンテージも含めて1勝4敗で敗退した。

<近年の阪神の納会での監督発言>

◆14年 和田監督は、2位からCSを勝ち抜き、日本シリーズ進出を決めたシーンを引き合いに「選手がどう喜んでいいのか戸惑っているところを見て、リーグ優勝しなければと思った」と決意を新たにした。

◆15年 就任間もない金本新監督がポジション争いに言及。「野手は鳥谷、福留、ゴメス。投手は藤浪、メッセ、能見、岩田、福原。それ以外は空いています」と競争心をあおった。

◆16年 FA獲得が決まったオリックス糸井について、金本監督が「センター一本で考えている」と明言。センターラインが定まり、浮上していた福留の一塁コンバート案も消えた。

◆17年 優勝した広島に10差をつけられての2位だったが金本監督は強気。「10ゲームほどの差は感じていません。若手、中堅が力をつければ十分に倒せる」。

◆18年 矢野新監督が必勝5カ条を明示。「勝つこと」「プラスワンを求めよ」「感情を出し切れ」「裏方に恩返し」「球団職員も団結」とのろしをあげた。