日本ハム高浜祐仁内野手(23)が、下克上を誓う1発を放った。8日、沖縄・名護でチーム初実戦となる紅白戦に「7番一塁」で先発出場。5回2死一塁で迎えた第2打席、左中間へ1号2ランを放った。昨年10月に戦力外通告され、育成契約で再出発。タピックスタジアム名護での「新球場1号」をバネに、はい上がる。

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つぶらな瞳は、鋭さが増していた。背番号「162」の高浜が、決意に満ちた1発を放った。5回2死一塁の第2打席。柿木のスライダーを捉えた打球は、風にも乗って左中間席まで伸びた。チーム&新球場1号の2ラン。「キレイになった球場で1号を打てたのはうれしかった」。言葉少ななのは、覚悟の証し。「背番号が3ケタになってしまったので、また2ケタになるという強い思いでやっている」。まず、初実戦で結果を出した。

プロ5年目で試練を迎えた。昨年10月、戦力外通告を受けた。「今までは(背番号が)2ケタの余裕があった」。名門横浜から14年ドラフト7位で入団も、1軍出場は通算4試合。戦力外を告げられた場で育成契約を打診されると、すぐに「2ケタを取り戻そう」と気持ちを切り替えた。オフ期間は股関節を柔らかく使う打撃フォーム習得に励んだ。「長打、粘り強い打撃でアピールしていけたら」と、必死に持ち味を磨いてきた。

兄と共闘を誓った。ロッテの兄卓也も昨オフ戦力外となり、育成契約を結んでいる。昨年末に実家で顔を合わせた時は「あっちはケガの関係。僕は実力不足なので、僕の方が結構落ち込んでいた」。兄弟そろって「2ケタを取り戻そう」と約束。紅白戦後には、小笠原ヘッドコーチ兼打撃コーチに下半身強化の助言を受けながら打撃練習に取り組むなど、強い覚悟をにじませた。

栗山監督は「結果が出た選手は、明日も連れて行こうと思っている」と、9日の阪神との練習試合(宜野座)に同行させることを決めた。アピールするチャンスをつかみ取った高浜は「気負わずに、自分が持っている力を100%出したい」。愛称「はまじ」が、はい上がりを懸けて再スタートした。【田中彩友美】

◆F高浜の1軍成績 15年に1試合、17年に3試合出場で通算13打数2安打、打率1割5分4厘。デビューは15年9月30日ロッテ戦(札幌ドーム)で「9番・三塁手」で先発出場。初安打は17年9月20日ソフトバンク戦(札幌ドーム)で、6回にバンデンハークから中前にはじき返した。

◆高浜祐仁(たかはま・ゆうと)1996年(平8)8月8日、佐賀市生まれ。6歳で野球を始める。福岡・金田中では飯塚ライジングスターボーイズに所属し、3年で全国優勝。高校は兄卓也(ロッテ)と同じ横浜に進み、1年夏から4番に座り、2年夏と3年春に甲子園出場。高校通算32本塁打。184センチ、89キロ。右投げ右打ち