すべてリリーフとして日米通算905試合に登板。現役23年目のヤクルトの五十嵐亮太投手(41)が、今季限りでの現役引退を決意したことが10日、分かった。シーズン開幕直前に下半身のコンディション不良で1軍を離れて以降、1軍に登録されることはなかった。近日中にも球団から正式に発表される見込みで、引退会見や引退試合が用意される予定になっている。ヤクルトのブルペンを支え、04年には日本最速タイ(当時)の158キロも記録。メジャーにも挑戦した快速右腕が、ユニホームを脱ぐ。

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チームにも、ファンにも歓迎された五十嵐の19年ヤクルト復帰だった。神宮周辺で「おかえり」の声をたくさん掛けられていた。復帰してしばらく後、1枚の写真を見せてくれた。入団当初から応援していたというファンの方が、当時撮った写真をわざわざ持ってきてくれたという。「かっこつけてるよね。もう今となったら、恥ずかしいよ。キムタクに似てたかなぁ」。恥ずかしいといいながら、とてもうれしそうな笑顔が印象に残った。

昨年は、現1軍の高津監督が2軍の指揮をとっていた。守護神高津へつなぐ役目も担い、ブルペンを支えた仲間だ。2軍で調整していた際、イースタン・リーグで「投手、五十嵐」と球審に継投を告げる高津監督の胸には、熱いものがこみ上げていたという。現役時代を知る仲間が監督になり、五十嵐も「ずっと一緒にやっていたから、すごい不思議」と話していた。最後の2年間はいろんな人にとって、かけがえのない時間になったはずだ。【ヤクルト担当=保坂恭子】