プロ野球新記録を前に、勝利の女神が振り向いた。平良海馬投手(21)が登板した1点リードの9回、柳田に安打を許し1死一塁で中村に左前へ連打を浴びた。三塁へ向かう代走・佐藤が1度はセーフ判定も、勢い余ってベースを一瞬離れタッチアウト。二、三塁となれば同点必至で、逆転の恐れもあった場面。相手のミスという運を味方につけた。39試合連続無失点の金字塔に、お立ち台で要因を問われひと言。「運です」と言い切った。

06年藤川(阪神)の記録を塗り替えたのは紛れもなく実力だった。最速160キロの直球は最高の見せ球。「僕の真っすぐなんて普通」といい変化球を駆使。最後の打者・栗原には、スライダーを2球連続投げ込み左邪飛に打ち取った。「記録をつくれたのは証拠みたいな感じでうれしい」と独特の表現で受け止めた。

運を呼び込んだのは平良自身だった。「運が良いと思って生きています」。沖縄・八重山商工3年最後の大会、渡辺GM(当時SD)は初戦敗退の可能性があったため1回戦を視察。その試合の決め手は剛速球よりも、フィールディングだった。同GMから「これならいける」と4位指名を呼び込んだ。グラウンドを離れれば自然を愛する21歳。記録達成で受け取った花束は自宅で花瓶に入れて飾っている。日々の行いが、勝利の女神を振り向かせた。

試合前には侍ジャパン稲葉監督に「先発ありますか」と“剛速球”の冗談をぶつけた。20年春季キャンプは先発調整し「肩のことを考えると将来的には挑戦したい」と先発転向の思いはある。中継ぎでしか達成困難な記録に「目標はない」と、無欲で前人未到の域に突入した。【栗田成芳】

◆生まれ 1999年(平11)11月15日、沖縄県。

◆経歴 沖縄・八重山商工から17年ドラフト4位で西武入団。高3夏は1回戦敗退。

◆最速 高校時代は151キロ。プロ1年目は2軍で156キロ、2年目に158キロ、20年7月19日楽天戦ロメロの打席で160キロを記録。160キロ台は日本人6人目。

◆鋼の筋肉 高校時代から取り組みベンチプレス130キロ持ち上げる。体重はプロ入り後10キロ増。

◆幸運のクワガタ 19年7月に新しくなった若獅子寮に引っ越した際、部屋に入ってきたコクワガタを飼育。同時に1軍抜てき。シーズン終盤に自然に返した。

◆愛称 男梅。ノーベル製菓の男梅マスコットに似ていることから。

◆好きな選手 高校時代は「タイプが違うから」と日本ハム金子にあこがれ。

◆好物 焼き肉。「肉だけじゃなくてなんでも食べます」。

◆嫌い 唯一オクラ、納豆などねばねば系は苦手。

◆サイズ 173センチ、100キロ。右投げ左打ち。

◆タイトル 昨季54試合で33ホールドを挙げ新人王に輝く。推定年俸は4200万円。

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