自力V消滅。広島が巨人にリーグ最多17度目の逆転負けを喫した。西川と鈴木誠の1発などで最大4点リードしたが、先発高橋昂ら若手投手陣が大量失点。2カードぶりの負け越しで、71試合目で早くも自力優勝の可能性が消滅した。まだシーズンは半分も残されており、佐々岡真司監督(53)にはチームの立て直しが求められる。

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広島の若手投手陣が、巨人打線の勢いにのまれた。3回までに菅野をKOし、4点をリードした。だが、先発高橋昂が4回に逆転を許すと、代わった島内、高橋樹も打ち込まれた。3回から5回まで、4四球に3本塁打を含む5長打、野選も重なった。3イニングで10失点。試合の大勢は決まった。重たい空気の中、打線は細かくつなぐ継投、巨人若手投手の勢いの前に、反撃ムードすらつくれなかった。リーグ最多17度目の逆転負けで、自力優勝の可能性が消滅した。

佐々岡監督 それはもう受け止めて。僕らは前を向いて戦っていくしかない。1つずつ借金を返していくしかないです。

指揮官は懸命に言葉を絞り出したが、71試合目になってもチームの形、目指す方向性は見えてこない。開幕から20試合は10勝9敗1分けで滑り出した。だが、エース大瀬良、正捕手会沢と、主力の離脱が相次いだ。徐々に黒星が先行すると、選手起用や采配にも焦りがみられた。新型コロナウイルスの感染拡大も影響した。得点力不足の打開策として日替わり打線を続けたが、機能したとは言いがたい。継投の形もまだ固まっていない。

首脳陣は6月25日に若手を積極起用する方針を固めたという。打線は6番まで固定されつつある。ただ、勢いに期待する戦い方は当然、もろさもはらむ。この日は失点を重ねた投手陣だけでなく、坂倉は慣れない一塁で野選を記録した。4点ビハインドの5回無死一塁では、一塁走者小園がけん制死。打席には4番鈴木誠がいた。昨秋から取り組む機動力野球は、得点力不足を解消する武器になっていない。

シーズンはまだ、72試合残っている。自力優勝の可能性は復活することもある。3位までに入れば、クライマックスシリーズもある。チームづくりに、無駄な試合は1つもない。ナインが同じ方向を向くためにも、まずはチームとして進むべき道筋を示さなければいけない。【前原淳】

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