阪神が投打とも奮わず、前半首位ターン決定はお預けになった。初回の4点が最後まで重くのしかかった。

先発伊藤将司が今季最短4回、ワースト6失点(自責5)でKO。矢野監督は「一気に4点でちょっと重たかったですし、その後も点を取られてしまったんでね。こっちに流れを持ってくることができなかった」と、序盤の攻防を悔やんだ。

試合前まで規定投球回不足ながら、防御率2・23で“隠れ2位”だった制球力抜群のルーキーが乱れた。初回先頭の松原に四球を与えると、自己最多の1イニング4四死球を出し4失点。その後も3回にウィーラー、4回に坂本にソロ本塁打を浴びた。巨人に1勝3敗、5被弾と苦戦する左腕は「初回から大量失点をしてしまいチームに申し訳ないです」と反省しきり。矢野監督も「球の走りとかは悪くなかったと思うけどね。コントロールかな今日は」と振り返った。

組み替えた打線も、劣勢をはね返すことはできなかった。11試合ぶりに4番に復帰した大山が、6回無死一塁で初球で三ゴロ併殺に倒れるなど、好機を生かせず。矢野監督は「全体的な並びとか、流れとしてはあの打順が一番いいなというのはある。後半に入るところでね、そういうきっかけをつかめたらいいなと」と説明。だが、チームの連打が出たのは2回の1度だけ。打線全体が沈黙した。

巨人とは7勝7敗。11日が前半戦最後の伝統の一戦となる。「僕らはジャイアンツを意識して戦うチーム。いい意味でモチベーションにして他のチームも全力で戦っていきます」。宿敵相手に快勝し、今度こそ前半首位ターンを決めたい。【磯綾乃】

▽阪神井上ヘッドコーチ(打線組み替えについて) 「悠輔(大山)を4番でいくという基本ラインがあって、もう1回、基本に近いところに持っていきたいと。(前日9日に)勝ったから流れをそのままにということもあったけど、逆の発想で勝ったからこそ変えようということ。いい感じで回ってた頃の基本形に戻れるのがベストだよと」

▼阪神は11日の巨人戦に勝てば球宴前の首位折り返しが決まる。12日からのDeNA3連戦に全敗しても、48勝33敗3分けで勝率5割9分3厘。巨人が13日からのヤクルト2連戦に連勝しても44勝31敗10分けで5割8分7厘に終わり、阪神が上回る。阪神が前半戦を1位で通過すれば、08年以来13年ぶり。