ブルペンから出て、右翼ポールのちょっと前がスタート地点だった。3点を追う8回に、ロッテの新外国人右腕、ロベルト・オスナ投手(27)が来日後初登板。リリーフカーに乗らず、駆けだした。

「走ることによって体が温まる。もう1つの理由が、走りながら考えることができて。スカウティングリポートを頭の中で繰り返しながら、どういう投球をしていこうかなというのを走りながら確認できるので」

強い風の中を54歩で駆けて、マウンドへ走った。2万人以上の拍手が包む。天に3度の祈りをささげ、18・44メートルの勝負の場へ。打者5人を要したが、無失点で終えた。

「こんな球場で、こんな風があって、こういう状況で自分のボールがどう変化をするのか、というのが分かったのが良かった」

強い海風は聞いていた。「シカゴで投げた時と同じかなと思ったんですけど、やっぱりシカゴよりかは強かったですね。何球かですけど、自分が足を上げて投げる時に体がちょっと動いてしまったというのは感じました」。メジャーよりやや低いと感じたマウンド。14メートルの強風に帽子を飛ばされたが、それもまた経験だ。

来日からちょうど2週間、2軍戦にも登板しながら、この日へ備えてきた。日本文化にもアクティブ。すしのワサビは「泣きそうになるくらい、鼻が」と笑うものの、それとはまた違った高まりに包まれたのが、この夜だった。代表取材の最後、自身から切り出した。

「自分が登場した時にファンの皆さんが温かく迎えてくれて、そこには本当に感動しましたね。ファンの皆さんの声援がすごくうれしかったので、それに応えるような投球をどんどんしていきたい、と書いて下さい」

新たな仲間が加わった。【金子真仁】

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