阪神村上頌樹投手(26)は悔しげだった。2点差に迫られた8回1死一、三塁で降板。思いを押し込め、後続に託した。石井、桐敷が無失点に切り抜けるとベンチ前で出迎えた。仲間の「救い投げ」に感謝しかない。
「野手のみなさんが逆転してくれて、後ろのリリーフの方も抑えてくれて、みんなに助けられたなと思います。重たいところを投げさせてしまったので申し訳ない。だけど信じていました」
7回1/3を2失点で5勝目。DeNA戦で、そして通算4試合目の登板となった横浜スタジアムで自身初勝利を挙げた。後半戦2連勝で今季5勝目。自身の借金を2まで減らし「借金をなくしていけるように」と前を向いた。
強力DeNA打線だ。細心の注意を払っていた。その裏には「岡田語録」の助けもあった。前回7月26日の中日戦。6回1失点で4勝目も、試合後の岡田監督の「コントロールが良すぎるんよ」というコメントが気になった。抜群の制球力があるがゆえに、ボールがストライクゾーンに集まりすぎていたことを指摘されていた。ひそかに村上も課題だと感じていたことだった。指揮官の言葉が心にズバッとささった。
「確かにそうだと思いました。今年、エンドランをよく仕掛けられますもん。『大体このへんに来る』と思われているんだと思う。作戦も立てやすい。バッターも打ちやすいのかなと」
この日は慌てない。2回にはプロ初となる1イニング3四死球。慎重になりすぎた部分もあったかもしれない。それでも尻上がりに直球のクオリティーを上げ要所を締めた。
「投げ切りたかったので申し訳ない。また(中継ぎを)投げさせてしまった」。イニング途中での降板に反省を繰り返したが、やり返すチャンスはある。チーム8連勝を導いても決して気を緩めない男。勝負の夏を走り抜ける。【中野椋】



