日本ハム金村尚真投手(23)が、プロ初完投初完封を逃しながらも5勝目をマークした。8回までわずか87球で無失点の快投だったが、1-0の9回2死二、三塁から楽天茂木に同点適時打を浴びた。それでもサヨナラは許さず、9回を109球1失点で投げ切り、延長10回の万波中正外野手(24)のプロ初の満塁弾で白星を手にした。今季途中から先発転向した右腕の好投で、2位ロッテとのゲーム差は2に縮まった。
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一塁側ベンチに腰かけ、がっくりとした金村の表情が生き返った。9回に茂木に144キロのスプリットを左前にはじき返され、プロ初完投初完封をあと1死で逃した直後。延長10回2死満塁、同い年の万波のグランドスラムで、消えかけた白星をつかんだ。「マンチュウ、打ってくれとずっと願っていたので、願いが通じて良かったです」と、歓喜のハイタッチを交わした。
劇的な白星にも、27アウト目の重さが残った。金村は「満足はしていられない。気持ちの面だと思うので、そこは自分で乗り越えていくしかない」と、神妙な面持ちでラストイニングを振り返る。「あと1死」で泣いたのは2度目。7月17日の楽天戦(エスコンフィールド)では、プロ初完投目前の9回2死満塁でマウンドを譲った(8回2/3を2失点)。「9回ツーアウトまでいけたっていうのは今までの自分よりはいいな」と先発投手として成長を実感しつつも「あそこ(9回)を投げきってこそ。そこは僕の弱さかなっていうのは感じる」と、最後のアウトへの思いを語っていた。
再び最終回に訪れた試練。指揮官も若き右腕と同じく、悔しさをあらわにした。新庄剛志監督(52)は「悔しいですよね。本音はね。抑えたいっていう気持ちが甘いところにいってしまうっていうね…」と言った。
一塁が空いている状況で、第2打席で安打を放っていた茂木との勝負。9回2死からの悔しさは残したが、8回まで87球で3安打無失点。わずか1点の援護の中で好投した。金村は「相手がどんどん振ってくる打線だったので、軽く入るのではなく、しっかり勝負しきれたのは良かった」と手応えもつかんだ。この1勝で2位ロッテとは2ゲーム差。1アウトに再び泣いた右腕が、混戦のAクラス争いで貴重な白星を生み出していく。【黒須亮】



