美技で広島ファンをくぎ付け!

 広島石井琢朗内野手(38)が25日、戦力外となった横浜から移籍後初めて実戦出場した。日南キャンプの紅白戦に紅組の「1番遊撃」で先発。打撃は2打数無安打に終わったが、守備で存在感を示した。5回1死一塁でバックトスを披露し、6-4-3の併殺を完成。遊撃レギュラーの筆頭候補が、ゴールデングラブ賞に4度輝いた実力を見せつけた。

 たったワンプレーで一流の技量を知らしめた。石井の赤ヘルデビュー戦。守備で存在感を示した。5回1死一塁。投手方向を襲う小窪の打球はマウンドにいた上野のグラブをかすめ、進路を変えた。ベテランは機敏に動く。逆シングルでつかむと、鮮やかなバックトスを披露。一瞬で6-4-3の併殺打を完成させた。

 「たまたまです。普通ですよ。あれくらいはできるでしょう」と涼しい表情で振り返ったが、4度ゴールデングラブ賞に輝いた力量は額面通りだった。素早い1歩目、確実な捕球や送球は衰えていない。ブラウン監督も「石井は守備でしっかりしたものを見せてくれた。あのプレー(バックトス)は長いキャリアのなかで、初めてではないだろう」と話し、信頼を深めた。

 新天地で迎えた09年。再出発は守備から始まった。1月上旬の伊豆・修善寺での自主トレ。開始当初は、午前中は守備尽くしの練習メニューをこなしていた。

 (1)前方から転がる球を素手で捕球の形を作って捕る

 (2)約3メートル先の壁に、投げて捕る壁当てを約30秒継続

 (3)ノックを受ける際、片足を上げて捕球し、そのまま送球に入る→前方にチャージして捕球し、送球する

 (4)通常のノック

 細かい動きを段階ごとに消化して、練習を進める。基本動作の反復が鉄壁のディフェンスを作ってきた。

 この日は打撃では2打数無安打だったが、まだ試運転にすぎない。石井も「実戦でいきなり(速球派の)シュルツとコズロースキーでしょ。当たるか心配だった。バットに当たったんであとは徐々にね」。通算2307安打のリードオフマンは、着実に状態を高めていく。【酒井俊作】

 [2009年2月26日10時27分

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