日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が注目決戦へ向け、得意の「先制口撃」をぶちかました。27日、札幌ドームでの練習に合流。4月3日の札幌ドーム開幕戦で投げ合うことが濃厚な楽天岩隈久志投手(27)を、大胆に挑発した。過去2戦2勝の直接対決の結果を持ち出し「負けていないですから、大丈夫ですよ」と宣言した。過去に大一番でビッグマウスをさく裂させ、有言実行してきた恒例儀式を完了。本拠地での29日横浜とのオープン戦で先発し、待望の対決へ最終調整を行う。

 日の丸の重圧からの解放感か-。ダルビッシュが自由奔放に、一目置いている先輩に舌鋒(ぜっぽう)を向けた。セ・パ同時にシーズンインする4月3日開幕戦。WBCでともに世界一の喜びを分かち合った、先発対決が濃厚な岩隈がターゲットだった。過去の2度の直接対決で2戦2勝。データを持ち出し、軽く揺さぶった。

 ダルビッシュ

 意識しないですよ。仲がいいですから。直接対決で負けていないですから、大丈夫ですよ。メールで(挑発、嫌がらせなどで)精神的にやってやろうかな(笑い)。

 WBC余波で注目度抜群の大一番。チーム合流初日から、さらに盛り上げを図るには十分のデモンストレーションだった。

 自信があるからこその「出陣式」だった。過去に大一番の前には、ビッグマウスをさく裂させてきた。象徴的なのは07年10月のロッテとのクライマックスシリーズ第5戦。2勝2敗のタイで、勝てば日本シリーズ進出、負ければ敗退の登板前日に、先発する成瀬を挑発。「向こうは多少、自分の投球ができないけど自分はできる。楽しみです。勝てると思います」。そうぶち上げ、心理戦へと持ち込み、その言葉通りに勝ち投手になった。岩隈へも早くも、おなじみの舌戦を開始した。

 この日は合流後、即ブルペン入り。NPB球の感触を確かめるように「専属捕手」の鶴岡を相手に、55球の投げ込みを行った。「体が軽すぎて良くなかったです」。久々のリラックスできるチームメートとの対面に、口も軽やかになった。29日横浜戦は、当初は中継ぎ登板する可能性もあったが、先発で2イニング登板することが決定。「投げないよりは投げる方がいい」と最終調整できる環境も整った。鶴岡も「まっすぐは指にかかったらすごい球がきていた」とすでに太鼓判を押す仕上がりで臨めることになりそうだ。

 紙一重の投げ合いが予想される、岩隈とのバトル。WBCの記憶も「もう忘れてますから。切り替えています」と封印した。抑えで登板した、米国時間23日の韓国との決勝では100マイル(約161キロ)の自己最速をマーク。国内での自己記録154キロの更新も関心事の1つだが「もう先発なんで…。(可能性は)抑えやったら」と、色気も見せなかった。真剣勝負の日本球界最高右腕の称号をかけた戦いへ、まずは舌戦に打って出た。【高山通史】

 [2009年3月28日10時57分

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