エースを超えろ!

 巨人キラーになれ!

 阪神ドラフト1位大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(18)の背番号が早くも決定した。26日、大阪・大東市内の同校で和田豊監督(50)らの指名あいさつを受け、提示された番号は巨人キラーとして活躍した小林繁氏が背負った「19」。ドラフト会議翌日に異例の背番号決定。大きな期待を背負い、打倒巨人のエースになることを誓った。

 和田監督、中村GMらの指名あいさつを受け、会見場に現れた藤浪はかみしめるように、神妙な表情で話した。「19番をいただくことになりました。阪神の歴代の方でも、偉大な方がいっぱいいらっしゃる、すごくいい番号をいただきました」。

 ドラフト翌日の指名あいさつで、異例の背番号提示だ。通常は入団発表や、仮契約のときに明らかになるものだが、早々に背番号が決定したのは、球団からの大きな期待の表れだ。

 しかも「19」は、阪神ではかつて小林繁氏や中西清起投手コーチらが背負った偉大な番号でもある。特に小林氏は79年に球団タイ記録の巨人戦8連勝をマークするなど、球団史上に残る巨人キラーとして知られる。藤浪は「時代が違うので多くはないですけど、何回か(映像で)見たことがあります。変化球のキレがすごく、安定感のある投手」と大先輩に思いをはせた。

 かつては巨人ファンだった藤浪に、和田監督も期待を寄せた。「小林繁さんや中西(コーチ)もそうだった。阪神で活躍した選手が多い番号。エースナンバーは18というものがあるが、それを超えてほしい。昨日(巨人ドラフト1位、東海大の)菅野君も19に決まった。打倒巨人という思いも込めて、19を選んだ」。

 藤浪は巨人キラー襲名への思いを問われ、「そういう何かの縁がある。そう言っていただけるような活躍ができるように、頑張っていきたい」と力を込めた。

 和田監督からは、ドラフト会議のパスにしたためられた「再び甲子園のマウンドで輝いてくれ」というメッセージをもらった。「期待されていると思う。その言葉の通りに頑張ろうと思います」。エースを超える、巨人キラーになれ-。虎の未来を変えるべく、藤浪が大きな使命を背負った。【山本大地】

 ◆阪神の背番号19

 37年秋、最多勝(15勝)防御率1位(1・48)でチーム初優勝に貢献した西村幸生がつけていた。その後、1リーグ時代に名捕手の土井垣が着用するなど野手が続いたが、近年はエース格の番号に。江川との電撃トレードで巨人から移籍した小林は79年、古巣から8勝を挙げた。続いて背負った中西は、85年リーグ優勝時の胴上げ投手となった。川尻は98年5月26日の中日戦で、ノーヒットノーランを達成した。