左膝骨挫傷で初日から休場していた平幕の碧山が、中日の17日から出場した。休場明けとはいえ、土俵の上に立つ以上は弱音は吐けない。いきなり結びの一番で横綱戦が組まれた。

 休場明け最初の取組が横綱戦となったのは、61年名古屋場所の東前頭5枚目北の洋以来56年ぶり。昭和以降では、今回が8例目となる。いきなり横綱を倒すのは至難の業だが、過去に1度だけある。51年秋場所で5日目から休場していた西張出小結の備州山が、再出場の8日目に張出横綱の千代の山を破った。今回を除く6例は、全て平幕力士によるものだったが金星は1度もなかった。

 昭和以降初の休場明け金星へ臨んだ碧山だったが、達成はならなかった。横綱戦と知った前夜は「びっくりでした。普通はないですよね」と驚いたという。ただ「番付見たらね。横綱、大関休みですからね」と覚悟はあった。さらに「家で見てたら悔しかった。僕も(相撲を)取りたかった。今日は出られてうれしかった」と土俵に上がれる幸せをかみしめていた。【佐々木隆史】