東幕下14枚目常幸龍(29=木瀬)が、西幕下14枚目炎鵬を止めた。炎鵬は序ノ口デビューから21連勝中で、169センチの体で番付を駆け上がってきた白鵬の内弟子。力で圧倒し、押しつぶすように土俵に沈めた。「記録保持者としては、負けられません」。会心の笑みに先駆者の意地が漂った。

 前相撲を含む初土俵からの連勝記録は板井の「29」だが、序ノ口デビューからの連勝記録「27」は常幸龍が持つ。だから「自分で止めてやろう」と思った。「ちっちゃかった。ああいうタイプはいないから、いろいろ研究しようと思ったけど(炎鵬が)負ける相撲(の映像)がなくて」と苦笑いした。

 学生横綱の肩書を手に、日大から角界入り。11年名古屋場所から連勝記録を作り、14年秋場所には小結。15年初場所で日馬富士から金星奪取。ところが、16年6月に右膝手術を受け、同年九州場所で三段目まで落ちた。

 今は復活途上にある。「下半身に重点を置いて稽古をしたら、自分でも驚くほど体重が増えたんです。でも、それで動けますからね」。体重は1年前から18キロ増の170キロになった。「まわしが短くなった。新しいのを…」。望むのは当然、関取の証しの白まわし。先輩が、後輩の壁になった。【加藤裕一】