大相撲の二子山部屋が21日、埼玉・所沢市の部屋で土俵開きを行った。農地に囲まれた静かな場所に、倉庫を整備した広い稽古場で、木村勘九郎を祭主に土俵の安全を祈願する土俵祭りが行われた。

 22日から稽古を始める土俵を見ながら、二子山親方(40=元大関雅山)は「力士を強くすることと同時に、礼儀なども指導して『二子山部屋の力士はちゃんとしている』と人間性を成長させていきたい」と、目標を語った。

 二子山部屋といえば、2人の横綱を輩出して若貴ブームを築いた名門で、14年ぶりに復活することになった。現在の二子山親方は、現役時代はむしろライバルの武蔵川部屋の一員として切磋琢磨(せっさたくま)していた。一門も当時の二所ノ関一門から出羽海一門に変わっている。それだけに当時を振り返り「まさかライバルだった部屋の名前を引き継いで独立することになるとは思わなかった。二子山部屋を復活できることになって光栄。一世を風靡(ふうび)した二子山部屋という部屋の名前は記憶に残りやすいと思う。皆さんに新しい二子山も覚えてもらいたいし、相撲協会やファンに恩返ししたい」と、感慨深そうに話した。

 所沢市としても、西武線沿線としても初の部屋とあって、地域の農家からすでに農産物の差し入れが届けられるなど、周囲の期待は大きい。