西前頭筆頭の大栄翔が、悲願の初優勝を果たした。単独先頭で迎えた千秋楽、勝てば優勝、敗れれば決定戦に持ち込まれる大一番で。隠岐の海を突き出して13勝目。立ち合いから圧倒する完璧な相撲内容で、歓喜の瞬間を迎えた。埼玉県勢では初、追手風部屋勢でも初めての優勝。昨年は全5場所で異なる優勝力士が誕生したが、2021年も“角界戦国時代”を象徴するような幕開けとなった。大栄翔は殊勲賞、技能賞も獲得。両横綱が不在、綱とりに挑んだ大関貴景勝が不振だった場所で主役を張った。
正代は結びで朝乃山との大関対決に敗れ、11勝4敗で今場所を終えた。2度目の優勝こそ逃したものの、初のかど番場所で千秋楽まで優勝争いに絡んで存在感を示した。同じく初めてのかど番を乗り越えた朝乃山は、11勝4敗で今場所を終えた。
大関復帰を目指す関脇照ノ富士は、明生を退けて11勝目を挙げた。返り三役の昨年11月場所では13勝。大関とりが懸かる3月の春場所に向けて、弾みをつける1勝となった。
三賞受賞者は大栄翔以外では、照ノ富士と新入幕の翠富士の2人が技能賞を獲得した。
場所直前に約900人を大将に実施した新型コロナウイルスのPCR検査の結果、力士65人を含む協会員83人が初日から休場。白鵬と鶴竜の両横綱が3場所連続で初日から不在となるなど、混沌(こんとん)とした場所が終わった。
- 八角理事長(手前)から内閣総理大臣杯を受け取る大栄翔(撮影・鈴木正人)
- 優勝インタビューで笑顔を見せる大栄翔(撮影・河田真司)
- 表彰式に臨む大栄翔(左)
千秋楽の熱戦を写真で振り返ります。
大相撲初場所 全取組詳細
大栄翔が悲願の初優勝 埼玉県勢&追手風部屋勢で初
大栄翔の分岐点は埼玉栄進学 最大の「親孝行」初V
大栄翔が悲願のV “角界戦国時代”象徴する幕開け
大栄翔が初V「あんなに重いものだとは…」一問一答
追手風部屋に初V力士も「パレードなく実感が」親方
中学時代は相撲道場通い園芸部/V大栄翔アラカルト
幕内
- 朝乃山(手前)との取組中、式守伊之助(左)にぶつかる正代(撮影・鈴木正人)
- 朝乃山(奥)に押し出される正代(左)を回避できず接触してしまう行司の式守伊之助(撮影・河田真司)
- 朝乃山(左から2人目)は正代を押し出しで破る。行司の式守伊之助(左)は土俵に押し出されたが、履いていた草履は残っていた(撮影・小沢裕)
正代 相手の圧力に負けて下がってしまった。そこがいけなかった。(大栄翔が先に優勝を決めたが)先に決められた方が気は楽だった。何とか勝てるように気持ちを作っていったが、最後の一番としては後味が悪い。また頑張ります。
- 明生(右)をすくい投げで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)
- 高安(左)をはたき込みで破る隆の勝(撮影・河田真司)
- 高安(後方)をはたき込みで破る隆の勝(撮影・鈴木正人)
隆の勝 最後の相撲に勝ててよかった。(大栄翔の優勝は)刺激になります。
- 霧馬山(左)を押し出す御嶽海(撮影・河田真司)
御嶽海 来場所につながる一番と思ったんで、しっかり勝ててよかった。15日間、何とか体がもったかなと思います。目標の2桁にあと1番が遠かったが、来場所に向けてまた頑張ります。
- 逸ノ城(左)を押し出しで破る北勝富士(撮影・河田真司)
- 隠岐の海(左)を激しく攻める大栄翔(撮影・河田真司)
- 隠岐の海(左)を突き出しで破り、幕内優勝を決める大栄翔(撮影・河田真司)
- 隠岐の海を突き出しで破り、勝ち名乗りを受ける大栄翔(撮影・河田真司)
大栄翔 (優勝インタビュー)自分の相撲を取りきるしかない。悔いがないよう、思い切りいこうと迷わずいきました。本当うれしさしかない。よかったです、本当に。(賜杯は)あんなに重いとは思わなかった。びっくりしている。
- 宝富士(奥)を寄り倒しで破る志摩ノ海(撮影・河田真司)
志摩ノ海 根負けしなかった。頭上げず、我慢していけと稽古場で師匠(木瀬親方)に言われるが、それを実行できたと思う。
- 琴勝峰(右)は佐田の海の勇み足で白星(撮影・鈴木正人)
- 豊昇龍(下)を寄り倒しで破る阿武咲(撮影・河田真司)
阿武咲 終始落ち着いて相撲がとれた。最後のいい相撲で締めくくれてよかった。
- 照強(左)は寄り切りで栃ノ心を破る(撮影・小沢裕)
- 玉鷲(左)に押し出される琴恵光(撮影・河田真司)
玉鷲 (歴代7位タイの通算連続1316回出場を白星で飾り)記録は気にしていないし考えていない。しっかりやり続ければこういう感じになる。人がどう思うかで、自分からはあまり言えない。
- 琴ノ若(右)を寄り切りで破る遠藤(撮影・河田真司)
琴ノ若 (勝てば敢闘賞の一番に敗れ)自分の力不足なので、しっかり受け止めたまた稽古を積みたい。
- 竜電(左)を押し出し出しで破る碧山(撮影・河田真司)
- 1回目の取組で同体となる輝(左)と明瀬山(撮影・河田真司)
- 明瀬山と輝の一番で物言いがつき協議する審判団(撮影・小沢裕)
- 明瀬山(右)を押し出しで破る輝(撮影・鈴木正人)
輝 (物言いで同体取り直しの末に勝利)どっちかなという感じで、もう一番あってもいいように気持ちを切らさずにいった。2番目の相撲は自分らしく攻めていけた。ああいう相撲をとれたら来場所につながる。
- 翔猿(右)を肩すかしで破る翠富士(撮影・河田真司)
翔猿 (6勝9敗で終わり)ちょっとダメだったスね。まだまだ安定していない。自分の相撲を磨いていきたいです。
- 徳勝龍(右)を押し出しで破る大翔丸(撮影・鈴木正人)
- 豊山(左)を押し出しで破る妙義龍(撮影・河田真司)
妙義龍 いつもより緊張しましたね。(千秋楽)7勝7敗は何回もあるが、勝つと負けるでその後が全然違う。勝ち越せたのは大きい。
- 天空海(左)を押し出しで破る英乃海(撮影・鈴木正人)
- 英乃海に押し出しで敗れた天空海(撮影・河田真司)
- 大相撲初場所千秋楽の幕内土俵入り(撮影・河田真司)