強い隆の勝が戻ってきました。勢いだけではありません。考えた攻め方が功を奏しました。

まず当たってから右のノド輪押しが強烈でした。照ノ富士とすれば右は差してくると思ったはずで、想定外だったでしょう。私も差しに行くところを、横綱は手繰りながら上手を取るだろうと予想していました。私が思う以上に隆の勝本人が調子の良さを実感しているでしょう。

見逃せないのは左の使い方です。こじ入れるようなおっつけで横綱の体を右にひねりました。斜めに動かすことで、横綱を前に出にくくさせました。あとは上体の浮いた横綱を勢いで持って行くだけ。右ノド輪と巧みな左おっつけという、一連の動きが全て重なった金星で、勢いだけでない考え抜いた攻め方でした。パリに聖火がともりましたが、名古屋も熱い。優勝は断然、横綱が有利ですが愛知県体育館での開催は最後です。名古屋の相撲ファンも、優勝決定の楽しみが千秋楽まで持ち越されたことを喜んでいることでしょう。(日刊スポーツ評論家)