元大関の関脇霧島(29=音羽山)が、14場所ぶり3度目の復活優勝に、涙を流して喜んだ。大関安青錦に下手投げで敗れたものの、2差で追っていた前頭琴勝峰、横綱豊昇龍が相次いで敗れた。好調の3力士がそろって敗れる珍しい形で、千秋楽を待たずに12勝2敗で逃げ切りを決めた。起点が平幕の東前頭2枚目ながら、直近3場所合計34勝。大関昇進目安の33勝を上回り、今場所後の大関返り咲きの機運も高まってきた。 

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3度目は、思いがけない形で転がり込んできた。過去2度の優勝を千秋楽に勝って決めてきた霧島が、初めて14日目に、しかも自身が敗れて決まった。先に琴勝峰が敗れていたが、その勝敗は関係なく、勝てば優勝の安青錦戦。肩越しに右上手を引いたが、相手に低く潜り込まれ、下手投げで膝から崩れた。気落ちしていた土俵下で、思いがけずに豊昇龍が敗れた。直後のテレビインタビューで「負けちゃったんですが、優勝が決まって良かったです」と話すと、涙が流れ出た。

約束の優勝だった。4月から小学校に入学する長女アヤゴーちゃん(6)から「バンザイをしたい」と、優勝力士の千秋楽恒例、支度部屋バンザイ写真をねだられていた。前回優勝は2年4カ月前。霧島は「2回目の優勝の時、娘は恥ずかしくてバンザイできなかった。1年前からバンザイの練習をしていて『パパ優勝してね』って言われていたので、約束を守れてうれしい」と笑顔で明かした。さらに千秋楽の22日は母エンフゲレルさんの53歳の誕生日。「何とか優勝したかった」と家族への感謝、後押しが大きな原動力だった。

23年夏場所後に大関に昇進したが、1年後に陥落した。首のけがが要因だったが「霧島は終わった」と、相撲界の内外でささやかれ始めた。さらに1つの定説が霧島を苦しめた。大関に昇進したモンゴル出身力士は全員横綱に昇進-。朝青龍や白鵬ら6人のモンゴル出身横綱がいるが「大関止まりは自分だけと悩んだ」と当時の心境を明かした。

そんな中、昨年8月19日に長男トゥグドゥルくんが誕生。「引退相撲の相手ができた(笑い)。将来は2代目霧馬山、3代目霧島、なんてね」と、新たな生きがいができた。直後の秋場所こそ右手首痛で負け越したが、そのころには「人は人」と吹っ切れた。常に家族が霧島の背中を押した。

誕生日の4月24日で30歳となるが「玉鷲関みたいに30代から強くなることもある。まだ、これから」と語っていた。今場所後の大関復帰の可能性は十分。1度は遠ざかった横綱を再び目指していく。【高田文太】

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