娘を愛せない母親もいる。「イヤミス」の女王、湊かなえ原作の映画に登場する女性たちが語る本音は、ぼんやりと母性に抱いてきたイメージを打ち砕く。

愛されたい一心で母だけを見てきたルミ子(戸田恵梨香)は、心ならずも自身が母親になると娘・清佳(永野芽郁)を愛することができない。孫娘を救うために母が突然死すると、ルミ子は生き残ったわが子清佳を憎むようになる。

愛せない母と愛されたい娘の思いはあらゆる局面ですれ違う。そして、2人を巡るある「事件」を証言するルミ子と清佳の話は真っ向から食い違って…。

昨年、ドラマ「ハコヅメ たたかう!交番女子」で先輩後輩の和気あいあいを気持ち良く演じた2人が、対照的に母娘の愛憎をヒリヒリと表現する。

老け役で心を閉ざす戸田の方が難役だと思うが、眉間の感じと微妙な目の動きで、のたうつような胸の内を伝える好演だ。比べれば、永野の清佳はまっすぐなキャラクターだが、終盤、感情を爆発させる迫真の演技が、ズシッと重い。

周囲では大地真央、高畑淳子がそれぞれの「女性の本音」に説得力を持たせる。近年胸キュン巨匠とも呼ばれる広木隆一監督が女性の本音をドロリと描いた。【相原斎】(このコラムの更新は毎週日曜日です)