田辺靖雄(80)と九重佑三子(80)夫妻が20日、記念ライブ「80★80(エイティ★エイティ)」を東京・渋谷区の古賀政男音楽博物館けやきホールで開催した。

「80-80」の発想は、ドジャース大谷翔平が一昨年達成した「50-50」(フィフティー・フィフティー=50本塁打、50盗塁)を参考にした。

田辺は4月5日に81歳。九重は3月21日に80歳となる。ともに「80歳(傘寿)」なのは3月21日から4月4日まで15日間ある。

この日は九重の誕生日の1日前だったが、「80★80」と「80代」へのドアを開け歩み出すという趣旨で、記念ライブを開催した。

田辺は「まさか2人で80歳になると考えてもいなかったけど、まだ用があると生かされているのかな(笑い)」と話した。

80歳になる九重は「数(年齢)は勝手に来ちゃうもの。全然、気にしたことはないです」と笑顔。

ライブの1部は「ヘイ・ポーラ」からスタート。「リンゴの唄」「有楽町で逢いましょう」「黒い花びら」「神田川」「川の流れのように」など、昭和10年代から同60年代の懐かしい歌の数々を、ソロやデュエットで披露した。

九重が国民的アイドルとなったTBS系特撮ドラマ「コメットさん」(67年)の同名主題歌も歌い、会場を沸かせた。

2部では「二人の星をさがそうよ」(田辺)「ウェディング・ドレス」(九重)など2人のヒット曲から、「ダイアナ」「ルイジアナ・ママ」「悲しき街角」など60年代のオールディーズのヒットメドレー14曲を歌い上げた。

ヒットメドレーでは、観客から、事前に配られた色とりどりの紙テープが投げ入れられ、会場は一気に60年代の雰囲気となった。

息を切らせた田辺が「あのころのエネルギーはどこに行ってしまったのか…」とぼやくと、会場から爆笑が起きた。

終盤、男の子の孫2人(新大学生と中学2年生)が、九重の誕生日を祝うためにケーキを持って登場。「90・90(ナインティー・ナインティー)も100・100(ハンドレット・ハンドレット)も歌い続けてください」と、お祝いとお願いの言葉を贈った。

最後には2人の最新アルバム「Good Times」の収録曲の中から、九重は敬愛した先輩ペギー葉山氏の名曲「夜明けのメロディー」を情感たっぷりに披露した。作詞は作家五木寛之氏で「すてきな思い出だけ 大事にしましょう」と歌う。

田辺は自らの日本語歌詞による「マイウェイ」を、「今まで歩いた足跡 いまさら 消してはいけない 誇りを持つんだ 自分らしさで」と熱唱した。2曲は2人の同世代に向けたメッセージだった。

田辺は「よく今後、どうするのですかと聞かれますが、こうして皆さんに一瞬でも幸せになってもらえるなら、歌い続けていきたい」と熱く語った。

九重は「大きなステージなど望んでいません。2人が元気で声が出る限り、(同世代の方に)若い時の青春の思い出をよみがえらせでもらいたいから、どこにでも行って歌います」と誓った。

来場者には「80」の焼き印が押された紅白まんじゅう(清松庵たちばな)と、緑効青汁(アサヒ緑健)がお土産として配られた。

そして「ふたりからのお手紙」という小冊子も同封された。手紙の最後に「80・80は、街道の一里塚だ」と書かれた。

一里塚とは旅の途中に建てられた目印のこと。田辺と九重にとって、これからも歌い続ける人生の通過点なのである。【笹森文彦】