先日、都知事選があったが、立候補者たちはこれでもかと注目を浴びていた。繁華街にはたくさんの人が集まり、未来の東京に向けて懸命に演説している姿を見ると、ドラマや映画のワンシーンなのかと錯覚してしまう。そう、主要候補者たちはそれなりの顔をしていて、いつ俳優になっても通用するのではないかと思った。

そこでまず、金曜ドラマ「笑うマトリョーシカ」を紹介したい。原作は人気推理作家の早見和真の小説。物語は若き政治家と有能な秘書、そして2人の奇妙な関係に気付いた新聞記者の話から始まる。主演の記者に水川あさみ、そして政治家を櫻井翔が務める。櫻井翔といえば、報道番組のキャスターなどのバックグラウンドから、いつ選挙に出てもおかしくない雰囲気を漂わせている。

そしてもう1人、今回取り上げたいのは秘書役を務める玉山鉄二。櫻井翔を裏で操る謎多き同級生・鈴木を演じる。まだまだ序盤だが、3人のどこかその含んだ表情に何かが隠されているように感じ、ミステリー作品として楽しませてもらっている。水川あさみの安定した芝居もだが、秘書役の玉山鉄二がなんともいい。さまざまなキャリアを経て、すごいいい役者になったな、と登場シーンだけで感じた。

改めて、玉山鉄二。デビューしてすぐに戦隊ヒーローになり、その後もコンスタントにドラマを中心に活躍。転機となったのは2014年の朝ドラ「マッサン」(主演)だろうか、それまでどこかイケメン俳優のイメージが先行していたが、ここでしっかりと国民的俳優として確立された。個人的には映画「手紙」や「ハゲタカ」、「ノルウェイの森」で印象的な演技をしていたこともあり、出るべくして出てきたと思っている。

最近では、配信ドラマ「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」では明石家さんまを演じ、昨年のドラマ「CODE-願いの代償-」ではいわゆるラスボス役を演じた。比較的好青年役が多かった中、ここ数年はさまざまな役にチャレンジしている印象を受ける。そこに来て今回のドラマ、政治家の秘書役という海千山千な役柄だが、雰囲気からしてすごく合っている。立ち姿からはじまり、表情に目線、どこをとっても我々がイメージしている政治を知り尽くした秘書役にぴたりとしている。

戦隊ヒーローから始まり、朝ドラ主演を経て40代、これからさらにすごい俳優になっていく可能性を今回のドラマですごく感じた。ドラマの展開とともに、これからの活躍に期待したい。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。最近では映画「その恋、自販機で買えますか?」「映画 政見放送」、10月18日には映画「追想ジャーニー リエナクト」が公開予定。