女剣劇のスターで、13日に膵臓(すいぞう)がんのため亡くなった女優浅香光代さん(享年92)が生前受けていたインタビュー映像が22日夜、NHK BSプレミアム「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」で放送された。亡くなる2カ月前の10月8日に収録されたもので、テーマの「阿部定事件」について語る姿が放送された。

“昭和の妖婦”といわれた阿部定をよく知る人物として取材に応じていた。夫のコメディアン世志凡太(86)とともにソファに腰掛け、ピンク色の服と黒いニット帽というカジュアルな姿で登場し、阿部定について「ほれっぽい」などと証言した。

「阿部定事件」は昭和11年、旅館で働いていた阿部定が、情事の最中に愛人の男性を絞め殺し、局部を切り取って逃走したというもの。服役後、女優に転じた阿部定の舞台を見たという浅香さんは「切った事件を(阿部定は)やることにしたの。お客がいっぱい来るんですよ」と当時の様子を語った。

女剣劇で肌を露出する「チラリズム」の演出で一世を風靡(ふうび)した浅香さん。阿部定が舞台で披露していたストリップについて、「客はこれが見たかったのよ」と股間を指さし、「見えも外聞もないのよ。客が入ればいいの」と当時の芸能事情を語った。

阿部定について「情はあるんだけどほれっぽい。女は弱いね。男と寝ると、いい男だと思っちゃう。こっちが食わせてやると思っちゃう」と人柄を証言。自らを「駄目な女」とつづり、71年に消息を絶った阿部定の心境を「分かる」とし、「これだけやっても信用されないんだ、どうでもいいやという気持ち」と話した。