リオデジャネイロ・パラリンピック9位の日本が、同6位のオーストラリアを52-44で破った。

 昨年の大会の1次リーグ初戦で69-70と1点差負けしたアジアオセアニア地区NO・1チームに雪辱し、続くカナダ戦にも64-53で勝利。1次リーグ3戦全勝で10日の決勝進出を決め、2勝1敗のオーストラリアと優勝をかけて再戦する。

 及川晋平ヘッドコーチ(47)は手応えを感じていた。オーストラリア戦後のインタビューで「結果が出ました。選手たちが本当によく走って、相手に攻めさせなかった」と笑みを浮かべた。リオで9位に沈んだ後、20年東京で悲願のメダルを手にするために掲げたテーマは「スピード&クイックネス」。世界の高さを切り崩すための武器を徹底して磨き上げることだった。

 選手たちは機敏に、タフにコートをくまなく走り回った。オールコートの激しいチェックで相手の攻撃を分断し、執拗(しつよう)なマークでシュートの精度を奪い取る。藤本怜央(34=宮城MAX)がリバウンドを獲得すると村上直広(24=伊丹SF)、鳥海連志(19=パラ神奈川SC)らが一気に相手陣内に攻め上がってロングパスのターゲットに。走力をベースにした流れるようなパスワークから何度もゴール下に侵入した。

 「もう、嫌になるくらい練習してますからね」と古沢拓也(22=パラ神奈川SC)。過酷なまでの走り込みとフィジカルトレはすっかり代表に定着し、今大会直前の北海道稚内合宿でも同様だった。両チーム最多の22得点で勝利の原動力になった香西宏昭(29=ランディル/NO EXCUSE)は「40分間しっかり戦い抜いて勝てたのが大きい。僕は最後、“ガス欠”で落ちてしまったけど」と苦笑いしながら、村上、鳥海、古沢らの速さと運動量を評価した。

 8月には世界選手権がドイツで開催される。昨年10月のアジアオセアニア地区予選で1位突破を狙った日本は準決勝でイランに屈し、3位決定戦で韓国を倒して何とか面目を保った。同予選を制したオーストラリアは、前回14年世界選手権の王者でもある。その強敵に連勝し、優勝を勝ち取れれば、日本はさらに充実度を増して世界との戦い、東京のメダルにつながる戦いに挑めるに違いない。【小堀泰男】