杜(もり)の都で生まれたペアが世界を制した。バドミントン女子ダブルスで金メダルを獲得した高橋礼華(26)松友美佐紀(24=ともに日本ユニシス)ペアの母校聖ウルスラ学院英智(宮城)で、18日深夜からパブリックビューイングが開催された。2人のバドミントン部の同級生や現役部員ら200人が集結。結成当初を知る高橋の同級生らが仙台で世界最強ペアが作られた日々を明かした。

 奇跡の逆転劇に涙がこぼれた。最終ゲーム16-19とリードを奪われる。不利の状況でも応援は鳴りやまなかった。「GO!

 GO!

 タカマツ」。祈りに似た絶叫が届いた。5連続ポイントを奪い、逆転の金メダル獲得。訪れた200人以上が総立ちとなった。この日は高橋とバドミントン部同期の5人らも来校。中高で6年間を過ごした仙台で声をからした。菅野友さん(26)は「感動。まさか金メダルを取るまでになるとは」と目を潤ませた。

 才能は圧倒的だった。菅野さんは岡田彩菜さん(25)とダブルスを組み全国中学大会を優勝。日本一のペアだったが、高校で結成された「タカマツ」には歯が立たなかった。「高橋のカバー力がすごいから、松友が生きてくる」(菅野さん)、「1回も勝ったことがない。練習で1セットとったことがあるかどうか。攻撃の形ができていた。松友は徹底的にローテーションで前衛に入る。高橋は後ろで動ける。コンビが抜群だった」(岡田さん)と完成度の高さがあったと話す。

 蔵王の山が2人を育んだ。ウルスラでは6月の総体予選終了後、4日間程度の山合宿が行われる。3キロ、2キロ、1キロの登山コースを午前午後で3本ずつを3回、ひたすら走る。アップダウンのある道を他校の陸上部に負けない速さで走るため「ウルスラ駅伝部」と呼ばれるほど過酷な練習。雨が降っても休みはない。松友と同期の石川未登里さん(25)は「最後はみんな手をつないで泣くんです。頑張ったねって」と練習に耐えたからこそ、どんな状況でも負けない精神力と強い絆が生まれたと振り返る。

 部活のオフは仙台市内のカラオケでストレス発散していたと振り返る面々。中心には主将の高橋がいたという。「高橋は女子力が高い。オフの日だけかわいい髪留めをつけるんです」(岡田さん)。コートを離れれば普通の女子高生。仙台で出会った2人は金メダリストとなった。【島根純】