男子3000メートル障害で三浦龍司(19=順大)が8分16秒90を記録し、7位となった。過去に個人トラック種目では、93年前の28年アムステルダム五輪女子800メートルで人見絹枝が銀メダルを獲得しているが、男子は誰もいなかった。ハーフマラソンU20(20歳未満)日本最高記録を持つ逸材が歴史的快挙こそ逃したが、世界を相手に力を尽くした。

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三浦は7月30日の予選で自身の日本新を6秒塗り替える8分9秒92。予選1組2着で通過していた。日本勢として49年ぶりの決勝に進出。タイムは全体でも2番目で、メダルの期待が高まっていた。

走る度に驚きの結果を残す。6月の日本選手権決勝。残り1周半を切った勝負どころで、体を地面に打ちつけた。水が張られ、高さ91・4センチの障害を越える水濠。その着地時に転倒し「一瞬、頭が真っ白になった」と振り返りながらも、日本記録を更新した。

男子短距離の桐生祥秀らを生んだ京都・洛南高から、20年春に順大へ入学。「スーパールーキー」として注目を集めてきた

箱根駅伝予選会では、初挑戦のハーフマラソンで1時間1分41秒のU20日本最高記録を樹立。全日本大学駅伝は1区の区間新記録をたたき出した。21年1月には名門で箱根駅伝の1区を担った。

今回の五輪は男子3000メートル障害。決して知名度が高いとはいえない種目で、大きなインパクトを残した。

◆三浦龍司(みうら・りゅうじ)2002年(平14)2月11日、島根県浜田市出身。浜田東中-洛南高。洛南3年時は高校総体近畿大会決勝男子3000メートル障害で、30年ぶりの高校記録更新となる8分39秒49。昨春、順大に入学。5000メートル自己ベストは13分26秒78。165センチ。

◆3000メートル障害 「サンショー」と略される。3000メートルを走る間に障害物(高さは男子91・4センチ、女子76・2センチ)を28回、池のような水濠を7回越えていく。各周に5回の障害物があり、その4番目が水濠であることがルール。水濠以外の4つの障害物は移動式。手をかけて越えてもいいが、外側を通ったり、下をくぐったりするのは禁止。