現役最後のレースとなった大迫傑(30=ナイキ)は、2時間10分41秒で今大会の日本勢最高となる6位入賞を果たした。日本男子の五輪入賞は12年ロンドン五輪6位の中本健太郎以来9年ぶりとなった。

世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(36=ケニア)が、2時間8分38秒で五輪連覇を果たした。銀メダルは2時間9分58秒のアブディ・ナゲーエ(32=オランダ)、銅メダルは2時間10分0秒のバシル・アブディ(32=ベルギー)。中村匠吾(28=富士通)は2時間22分23秒で62位、服部勇馬(27=トヨタ自動車)は2時間30分8秒で73位だった。

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大迫には、できればメダルをとってほしかった。期待される中で可能性を見せてくれたのはさすが。本人もやり切った気持ちがあったのだろう。本人は悔いがないのだろうけど、次のパリは3年後だし、もったいない。新型コロナの状況がよくなれば、会って話をしてみたいと思うけどね。

中村と服部は残念だった。常にオンラインで連絡はとっていたけれど、ケガなどで体調は万全ではなかった。1年延期で「マラソン代表」のプレッシャーが余計にかかったのも、つらかったはず。中村は自分の状態を分かって走っていたけれど、服部は序盤に無理をした。それが、終盤に響いてしまったね。

男子のレースは、30人が棄権。完走率も71・7%と低かった。ただ、暑さという点では前日の女子の方が厳しかった。女子は限界まで頑張る選手が多いが、男子は諦めが早いのか。そんな中で、完走してくれた服部には拍手を送りたい。

いきなり札幌での開催が決まり、1年の延期もあった。日本代表を決めたMGCは、20年の東京開催を想定したもの。準備してきたものが突然変わるのは選手に負担だった。女子の開始が1時間早まったのも、わずか12時間前。本当に「アスリート・ファースト」なのかなとも思ってしまう。

大会に向けた準備は90点だった。選手たちは補欠の4人も含めて最後までいい準備をしてくれた。マラソン強化戦略プロジェクトリーダーに就任してから5年は長かった。特に最後の2年は長かった。ただ、日本のマラソンはこれで終わりじゃない。今大会を世界と戦うきっかけとして、次のパリを目指して欲しい。(84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪代表)