日本が今大会初のタイブレークを制し、延長8回サヨナラ勝ちで2連勝とした。この日39歳のバースデー登板となった上野由岐子投手を20歳の最年少投手が救った。

2日連続先発の上野が勝利目前の7回に連打を浴びて同点とされ、降板。無死一、二塁でマウンドに上がった後藤希友(みう)投手(20)が、3人を無安打に抑え、逆転を許さなかった。

8回の無死二塁からのタイブレークも、すべてのアウトを三振で取るなど、完璧な投球で流れを引き寄せた。後藤は「1点も取られてはいけない場面。野手の皆さんが絶対に点を取ってくれると信じて投げた」と堂々とした表情で答えた。

ピンチの場面で選ばれたのは藤田ではなく、後藤だった。宇津木監督は「ここで負けられないという、最後の最後、大事な時に使おうと思っていた」。今月上旬に行われたメキシコとの練習試合でもほとんど使わず、勝負どころで20歳の度胸に託した。

後藤は「マウンドに上がる前にどういうことを考えて上がるか、マウンドではどれだけ集中力をもって投げるかが1番大事」。大事な場面でも表情をほとんど変えず、秘めたる闘志をボールに込めて、投げ込む姿に宇津木監督は「昔の上野のように見えた。いずれは日本を背負っていく上野のような投手に育てていきたい」と最高の言葉をかけた。

誕生日を迎えた上野に黒星を付けるわけにはいかなかった。「必ず勝ちをプレゼントしたいと思っていた。尊敬している方だし、1歩でも近づけるように練習している」。あこがれの先輩からバトンを受け、しっかり勝利につなげた。上野も「後藤がしっかり抑えてくれた。調子も上がっていたし、いつも通りだったと思う」と目を細めた。

エースの危機を20歳の後藤が救い、いい流れを作った日本は、次なる決戦の地、横浜スタジアムに向かった。【松熊洋介】

◆日本の1次リーグ展望 6チーム中、上位2チームが決勝へ進出する。そのため目標とする金メダル獲得には、1次リーグは全勝、もしくは1敗までしか許されない。2敗となると他チームの結果待ちとなる。そのため最終戦で対戦する最大のライバル米国との対戦までは、全勝をキープすることが大前提となってくる。世界ランキングでは米国が1位、日本は2位。25日の第4戦で対戦する同3位のカナダ戦が、金メダルへの1つのポイントとなりそうだ。