侍ジャパンの一員として、東京五輪の野球で金メダルを獲得した北海道鹿部町出身の日本ハム伊藤大海投手(23)が10日、1軍の全体練習後に札幌市内の室内練習場を訪れ、大会終了を報告。韓国戦で話題になった「#追いロジン」をめぐって、SNS上で批判的な書き込みがあったことを明かした。侍では、駒大苫小牧の大先輩、楽天田中将大投手(32)に対しても強心臓ぶりを発揮? 世界レベルのブレない心で、後半戦、下克上の主役になる。

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世界レベルの強心臓。やはり、並のルーキーではない。金メダルを首から提げた侍ジャパンの日本ハム伊藤が10日、東京五輪終了を報告に訪れた札幌市内の室内練習場で、アスリートをめぐるSNS上での中傷的な書き込みについて、ブレない考えを明かした。

ことが起こったのは、東京五輪の4日韓国戦だ。相手チームから投球ごとに舞う滑り止めのロジンの粉にクレームを付けられながらも、規則違反ではないことから淡々とルーティンを貫き、試合後に自身の見解をツイッターで公表。寄せられた意見の中には、単なる批判を超えた中傷の言葉も日本語や英語で散見され「そういう人に何を言われても、別に僕はメンタルを削られない」と、きっぱり。今大会では、SNS上でのオリンピアンへの心ない中傷が問題となったが「自分の意見を言えない選手が肩身の狭い思いをしなくていいように、発信できる人がすればいい。免疫がある人が言い続ければいい」。澄んだ瞳には、強い信念が宿っていた。

侍では中継ぎで3試合に登板し5回無失点。準決勝の韓国戦では勝利投手になるなど、日本の金メダル獲得に貢献した。大会前には気後れして近づけなかった駒大苫小牧の大先輩、楽天田中からも、調整法やスプリットの投げ方を教わるなどうち解け、最終日には、なんと「マー君」呼びまで解禁。投手陣の写真撮影で、1人離れていた田中を「周りにあおられて『マー君』呼びで呼び寄せてしまいました」と苦笑いだ。

後半戦は、17日以降の登板が予想される。久しぶりの先発に「イニング的に投げたい気持ちでうずうずしてフラストレーションがたまっていたので、その気持ちをうまく持ってリーグ戦へ入って行きたい」。世界一のチームで磨いた心と技で、最下位に沈むチームを救う。【中島宙恵】