レジェンドは、厳しくも愛情深いメッセージを届けた。11年W杯ドイツ大会で得点王とMVPに輝いた元なでしこジャパンの澤穂希さん(42)が、五輪期間中、女子日本代表の試合を独自の視点でチェックします。題して「澤'S eye」。世界一を知る日本の元10番は新たな10番・岩渕の成長を喜ぶ一方、攻守での単調さを指摘。さらに、戦う姿勢を求めた。

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岩渕を褒めてあげたい。厳しい中で最後まで体を張り、結果を残すことが10番の役割。私が現役を引退する前、東京五輪では岩渕に10番を着けてほしいと話していた中、それがかなってうれしい。

あんなに小さかった高校生の岩渕がチームを引っ張る選手になって。「澤さんみたいにはまだ届かないけど」とは言っていたけど、すごく成長を感じる得点。これからは「なでしこの10番は澤じゃなく、岩渕」と海外のどこのチームからも言ってもらえるように、結果とプレーで引っ張ってみせてほしい。

ただ前半は岩渕もボールに触れる時間が少なく、引いていた。彼女が出し手ではなく、受け手ではないとチームとしては悪循環。2トップでの絡みをもう少し見たかった。

全体的に攻撃が単調だった。低い位置でボールを回していても、相手も守備がしやすい。高さがある相手に、ぽんぽんクロスを上げても得点につながらない。相手を広げさせて、中の選手にワンタッチで入れてあげるとか。ゴール前のアイデアを増やしてほしい。

守備も今のままでは、相手のやりたい放題になってしまう。奪いどころはどこか。ファーストディフェンダーを決めて、連動しないといけない。クロスの対応も少し弱かった。攻守のリーダーを明確にしていなかった。チームコンセプトがはっきりしなかった。

もちろん緊張もあったと思う。ただ本当にメダルを取りたいと思っているならば、もっともっと戦わないといけない。90分で倒れた選手は何人いるか。暑いのはお互いさま。何が何でも勝ちたいと思う選手が何人いるのか疑問に思う。1人でも多くというか、全員がそういう姿勢を見せてほしい。