女子の都筑有夢路(あむろ、20)が、3位決定戦でアメリカのキャロライン・マークスを破り、銅メダルを獲得した。

3歳から始めたクラシックバレエでバランス感覚を身に付け、兄の百斗(ももと)の影響でサーフィンを始めた。11歳で大会に出場した時も兄の背中を追い続け「サーフィンについて尊敬している兄が身近にいるので勉強になる」と切磋琢磨(せっさたくま)して技術を磨いてきた。開幕まで2週間を切っても「まだ実感が湧かない」と話す。ほのぼのとした性格なのか、意気込みを問われても「頑張りま~す」と緩いかんじ。プレッシャーとは無縁の存在に見えた。

ただ、五輪本番では違った。1回戦で最下位。別の選手が先に乗った波に割って入り「インターフェア」を取られ、ライディングが無効になるアクシデントも経験した。

そこからは吹っ切れた。敗者復活戦を兼ねた2回戦、3回戦と駒を進めた。この日の準々決勝では世界トップクラスの選手を相手に番狂わせを演じ、メダルへあと1勝にまで迫った。準決勝でプロ最高峰チャンピオンシップツアー(CT)年間首位のカリッサ・ムーア(米国)に敗れたが、勢いは衰えることがなかった。

弱冠20歳が気持ちを切り替え、並み居る強敵を倒して銅メダルをつかんだ。

◆都筑有夢路(つづき・あむろ)2001年(平13)4月5日、神奈川県生まれ。サーファーだった父の影響で幼少時よりサーフィンを始めた。神奈川県藤沢市の海岸をホームとし、15年の全日本級別サーフィン選手権3位。16年にプロ合格。19年に日本サーフィン連盟の強化指定選手となり、同年の一宮千葉オープンでQS初優勝。今季からプロ最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)に挑戦している。158センチ。

◆世界のサーフィンの仕組み 五輪を統括する国際サーフィン連盟(ISF)とは別に、世界ツアーに出るトッププロを抱えるワールド・サーフ・リーグ(WSL)がある。選手が目指すのはWSLのトップカテゴリーであるチャンピオンシップツアー(CT)。その下のクオリファイシリーズ(QS)で上位になり、CTに昇格するシステムだった。今年からはCTとQSの間にチャレンジャーズシリーズ(CS)を新説。ピラミッドが3段階になった。五十嵐は16年からCTに参戦。都筑は今年CT選手になった。CSには、村上舜がランクされている。