<W杯アジア最終予選:サウジアラビア1-0日本>◇B組◇6日◇サウジアラビア・ジッタ

 サッカーで生命線になる「点を奪う」という意識が全体的に薄く、日本はスコアレスドローが精いっぱいの内容だった。気象条件では圧倒的に日本に不利だったし、ベンチの思惑は安全運転で乗り切りたかったのだろう。岡崎が前線で孤立し、どんな改善策が図られるか注目していたが、解決できなかった。得点への意欲が敵に伝わらない限り、相手はひるんでくれない。

 痛感させられたのは、日本には主体的に動ける選手が少ないということ。作戦がはまらなければ、監督の指示以外のことであっても自ら考え、声に出し、引っ張っていかないと。それが1人ではなく、複数いないと世界では勝てない。たんなる監督の指示の範囲内で動こうとする自主性だけの選手は、アジアのレベルでしかない。

 少ない収穫を挙げれば、最終予選全試合に出場した原口は、攻撃への意識の高さは随一だったし、4得点という結果も残せた。まだまだ本大会のメンバーは模索されていくだろうが、アドバンテージはつかんだ。(日刊スポーツ評論家)