<H組「お国柄」チェック 関学大・藤井教授が解説>
世界の話題をお届けする「ズドラーストヴィチェ!(ロシア語でこんにちは)」の第6回は、ワールドカップロシア大会で日本が入る1次リーグH組のお国柄に迫ります。中でもFIFAランクが最も高い10位のポーランドに注目。両国友好に尽力する日本ポーランド協会関西センター代表で、関学大経済学部の藤井和夫教授(67)は、経済的な成長から自信を深めている国だと解説した。
日本と第3戦で対戦するポーランド。首都ワルシャワには高層ビルが立ち並び、ワルシャワ中央駅の真横には同市から贈呈されたエースFWレバンドフスキの自宅がある高級マンションが建っている。ビル壁面など街の至る所で巨大な広告看板に収まるレバンドフスキの姿が目に飛び込んでくる。作曲家ショパンや天文学者コペルニクスで知られ、美人も多いこの国が今、ノリに乗っている。藤井教授は「自信を取り戻してきている」という。
ポーランドは歴史的に他国の侵攻にあい、支配、独立、分割が繰り返された。1795年から1918年までの123年は世界地図から消滅し、ロシア、プロシア、オーストリアの3国に分割されたが、そんな悲劇は過去のもの。89年の東欧革命、冷戦終結でソ連の傘下から外れて民主化にかじを切ると、一時の混乱期はあったものの、今年で独立100周年を迎え、国に勢い、豊かさが出てきた。
その源は04年5月のEU加盟を機にした経済成長にある。EUからインフラ整備の資金が配布され、地理的なメリットを求める他国企業が生産拠点を置いた。藤井教授は「EUがもっと東に進出するため、ポーランドに工場を作るなどして投資の対象になった。すごく(国が)活発になった。それが大きな要因だが、ものすごい成長率で『経済の優等生』と言われている」。投資や貿易で刺激された経済は08年のリーマン・ショック後もプラス成長で、昨年はEUの中で6位と上位の成長率を保っている。
経済の上昇気流はサッカーにも押し寄せた。ウクライナと共催だった12年の欧州選手権に向け、政府がスタジアムや練習ピッチの建設を進め、人気は高まった。4年後、16年欧州選手権では過去最高の8強に進出。当時、同国に滞在していた藤井教授は「盛り上がり方に驚いた。ポーランド人はクールだと思っていたが、国民が団結して応援していた」。優勝したポルトガルとの準々決勝にPK戦の末に敗れて帰国した際、空港に多くのファンが待ち構え、レバンドフスキも「すごく温かく迎えてくれて感動した」と驚いた。国としての自信を取り戻し、国民がスポーツにも打ち込む心の余裕を手に入れたことを物語る出来事だったという。
冷戦終結の前年に生まれたレバンドフスキは母国の3部クラブでキャリアを始め、1部レフ・ポズナニを経てドルトムント、Bミュンヘンとステップアップした。ブンデスで6度のリーグ優勝、今回のW杯予選では欧州記録を更新する16得点で3大会ぶりの出場に導くなど、自国経済とシンクロして成長し、今、ノリに乗る。過去W杯では、まだ共産主義だった74年と82年大会で3位。「厳しい戦いになるが、新しい歴史をつくる」。古豪復活の鍵を握る世界屈指のストライカーの思いは国民と同じだ。【小杉舞】



