歴史的な豪雨に見舞われ、特に被害の大きかった広島県に本拠地を置くJリーグのサンフレッチェ広島。クラブの説明によると、選手やスタッフ全員の無事が確認されたという。8日の安芸高田市での練習も交通渋滞などを考慮して、開始時間を午前10時から3時間半遅らせたが、無事に実施されたという。

 ただし選手らの自宅や実家付近では、近隣住民らが水没などで被害を受けたといい、精神的なショックは隠せない。広島のジュニアユースの練習場も直接的な被害こそなかったが、正面玄関近くで崖崩れが起きたといい、交通網が寸断されたことで当分は練習場を使用できない見通しだ。

 プロ野球広島が9日からマツダスタジアムで予定していた阪神3連戦を中止にすると発表したように、クラブ内では11日に広島市安佐南区にある本拠地Eスタで予定される、天皇杯3回戦名古屋グランパス戦の延期も視野に入れている。豪雨による土砂災害に襲われた14年8月と同様、すぐ近くの安佐北区では今回も被害が大きく、何より広島県全体に深刻な被害が広がっている。

 「県内では交通網が一部で寸断されており、試合をすれば当然ながら交通渋滞が起こる。本音を言えば開催は自粛したい」とクラブ関係者。この日は日曜日だったため、週明け9日にも主催の日本サッカー協会とクラブが開催の是非を話し合う見込みという。4年前の被害の際も広島は、被災地周辺の救助活動を優先させるために天皇杯の試合を延期している。

 18日にはW杯ロシア大会のために中断していたJ1リーグ戦も再開され、首位を走る広島は同じくEスタでG大阪と対戦する予定だが、どこまで影響が及ぶかは現時点で不明だ。【横田和幸】