大分トリニータ片野坂知宏監督(50)が、清水エスパルス戦で9試合ぶり勝ち点3となる「男泣き勝利」を飾った。

前半38分、MF町田也真人(31)が。右CKから混戦になったこぼれ球を瞬時の反応で押し込んで先制した。しかし、その後は相手にボールを支配される時間が長く、最後まで高さを生かしたパワープレーで苦しめられた。

それでも全員が気合で体を張り、DF坂圭祐(25)は「チャレンジ&カバーをしっかりしてラインを上げ、ゴールに近づくプレーをさせないように意識した。気持ちの部分が大きかった」と、11戦目にして意地の今季初完封勝利だ。

泥沼連敗も「7」で止めた。今季ホーム試合初勝利に「ホームで初勝利を挙げることができ、大人げなく泣いてしまいました。選手が悔しい思いをしていたので、勝たせてあげられていない悔しさがあった。何としてでも勝利したいゲームでした」と、指揮官は感情を抑えられなかった。

負けられない理由があった。対戦した清水のロティーナ監督(63)との相性で言えば、リーグ戦は17年から率いたJ2東京ヴェルディ1969戦、19年から率いたJ1セレッソ大阪戦で勝利したことがなく、片野坂監督は「ロティーナさんというところでは、17年のJ2の頃から勝つことができない監督でした」と、リベンジに燃えていた。

それだけではない。清水には昨季、大分生え抜きで主将も務めたDF鈴木義宜(28)を引き抜かれ、かつて大分で活躍したFW後藤優介(28)らも所属。「私と一緒に戦ってくれた戦友というか、選手何人かがいたので、そういう思いの中、今日はホームで(サポーターと)勝利を分かちあいたいと思い試合に臨んだ」と、燃えていた。監督の魂が選手を奮い立たせた一戦だった。【菊川光一】

J1順位表はコチラ―>