日本サッカー協会(JFA)が、東京・文京区に所有するビル「JFAハウス」の売却を視野に検討を進めていることが1日、分かった。2002年W杯日韓大会の大幅な黒字などにより約60億円(当時)で取得した地上11階、地下3階の「マイホーム」だが、コロナ禍による日本協会の大幅な収入減などによって、売却を含めて検討することになった。来年8月までに結論を出す見通しだ。

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JFAハウスには、サッカー界先人たちの思いが詰まっている。長年の仮住まいから、ようやく03年に自社ビルの夢がかなった。当初、80億円で売りに出ていたビルを「ローンを組まず、現金で払う」と値切り、55億円+税金など諸経費5億円の60億円で購入した。サッカーミュージアムをつくりたかったため、地下に大きな展示場があった同ビルは最適な条件だった。

購入資金は、02年W杯日本組織委員会(JAWOC)がW杯の黒字から割いた約30億円と、日本協会がW杯が赤字になった場合に備えた貯金約30億円から。JAWOC解散後、諸権利すべてが日本協会に渡った。

当時の川淵三郎会長は職員を集めて「このビルを実際に見ることのできなかった先輩がたくさんいる。今まで日本サッカー界のために尽力した方々のことを考えると、申し訳なくてオレは1階の正門玄関は使えない」。相談役となった今でも、正面玄関は使わず、いつも地下の駐車場出入り口を使用する。車を使わない日も、地下から外階段を利用するほどだ。【盧載鎭】