成績不振のロナルド・クーマン監督を解任したバルセロナは現在、アルサド(カタール)で指揮を執るクラブのレジェンドであるシャビ・エルナンデス(41)を新監督の最有力候補に挙げており、今週中にも正式発表される見込みとなっている。
シャビは2015年夏、バルセロナでの17年間の華々しいキャリアに終止符を打ち、アルサドで選手として4シーズンを過ごした。そして現役引退後、そのまま監督に就任し、今季、3シーズン目に臨んでいる。
シャビの監督としてのプレースタイルについてはスペイン国内でさまざまな分析が行われているが、実際にカタールでどのように戦ってきたのだろうか?
アルサド監督としての2年半の公式戦成績は94試合64勝14分け16敗。勝率は68%と高く、昨季はカタールリーグ王者となり、通算7タイトルを獲得。さらに現在、クラブ史上最多となるリーグ戦35試合連続無敗中であるため、カタール国内では圧倒的に勝負強い監督と評価されている。
監督としてのシャビの哲学は、現代のバルセロナの礎を築いたヨハン・クライフと、キャリアを通じてジョゼップ・グアルディオラなどから培ってきたバルサスタイルの影響を大きく受けているという。自身のコンセプトについて先日、「サッカーにおいて最も大切で美しく貴重なことは、ボールをキープして攻撃を仕掛け、ゲームを支配することだ」と語っていたが、ボールポゼッション、ウイングを使ったプレー、ハイプレスの3点がシャビの戦術の鍵と言われている。
シャビはアルサドで監督キャリアをスタートした時、バルセロナでの選手時代に大成功を収めた4-3-3にこだわっていた。しかしその後の2年半で監督として進化し続け、戦術的な豊かさとシステムの多様性を発揮できるようになり、4-3-3と攻撃的な3-4-3を併用して結果を出し続けている。最近は3バックで戦うことが多いが、そのシステムはクライフの愛したダイヤモンド型ではなく、ボランチ2枚とサイドハーフを配置した3-4-3。しかしボール主体の「クライフ主義」の香りを残したスタイルになっているとのことだ。
シャビがアルサドの監督就任会見の際に「ボールは爆弾ではない。ボールは宝だ」とボールを大切に保持する重要性を訴えた通り、1番目の鍵はボールポゼッション。相手よりも優位に立てるようピッチのあらゆる場所に選手を配置してボールをキープし、フリーの選手に素早くボールを渡すことを心がけ、ゲームを支配することを目指しているとのことだ。
2番目の鍵はウイングを使ったプレー。4-3-3や3-4-3lのシステムに関係なく、ウイングは常にサイドに大きく開いてプレーしている。これによりピッチが広くなり、相手サイドバックをペナルティーエリアから遠ざけ、センターフォワードやMF陣が自由にプレーできるスペースを作っているのである。
3番目の鍵はグアルディオラ指揮下のバルセロナでも特徴となっていたハイプレス。前線から激しく相手を追いかけ、中盤への侵入を許さず、できるだけ相手のゴールの近い位置でボールを奪うことをコンセプトにしているとのことだ。シャビが練習でその動きを徹底的に鍛え上げたことにより、選手たちはどこでプレスをかけるべきかを全て把握し、組織的に機能できるようになっているという。
スペイン紙マルカがウェブサイト上で「新監督がバルサの現在の状況を好転できるか?」というアンケートを実施したところ、77%の人々が「いいえ」と返答したように、誰が監督に就任しようともクラブの未来は暗いという意見が非常に多い。
その状況下、シャビが不振にあえぐチームの救世主になれるかは未知数であり、プレッシャーはこれまでとは比べものにならないくらい計り知れないものになるだろう。しかしシャビがカタールで実践してきたサッカーを振り返ると、バルセロナのスペクタクルなサッカーが戻ってくる可能性を期待せずにはいられない。
アルサドとの契約が今週解除されると報じられており、バルセロナのシャビ新監督誕生の瞬間が間近に迫っている。
【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)


