古豪ボタフォゴのMF本田圭佑(34)が、王国ブラジルの全国選手権で初ゴールを決めた。アウェー、スポルチ戦にキャプテンマークを巻いてフル出場。前半29分に、得意の左足で、ミドルシュートを決め勝利に貢献した。

王国ブラジル最高峰の舞台、全国選手権での得点を決めた日本人は、カズ、前園真聖がいる。

本田の初得点で、クローズアップされるその前園のすごさを、22年前、1998年(平10)10月20日の日刊スポーツ紙面から、復刻版で特別にお届けする。

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【サントス(ブラジル)18日(日本時間19日)=エリーザ大塚通信員】サントスのMF前園真聖(24)が、デビュー戦初得点を挙げた。Jリーグ川崎からレンタル移籍して以来、この日、ブラジル全国選手権ポルトゲーザ戦で初めてベンチ入り。後半20分に途中出場し、わずか1分後に先制ゴールを決めた。1-1と引き分けたがチームの2位キープに貢献した。

 

サントス1(0-0、1-1)1ポルトゲーザ

▽得点者

【サ】前園

【ポ】アイルトン

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前園の目が鋭さを増した。後半開始からベンチ裏でアップを始めた。その姿を見つけた1万2000人の地元サポーターから、「ジャポネース(日本人)!マエゾノを出せ!」と大声援を受けた。

後半20分、MFメシアスに代わって途中出場。試合に出られる幸せを感じながら、ゴール前へ走った。

そのわずか1分後。元平塚のシモンからボールを奪い、左にいたFWアジエルへパス。そのアジエルから受けたセンタリングを、ワントラップ。シュートしたボールは相手DFにはじかれて、GKの頭上を越えてネットを揺らした。

会場の声援が絶叫に変わった。サントス前園が、衝撃的なデビューを飾った。

「ゴールを決めることができたのは良かったけど、チームが勝てなかったのであまり喜べない。次の試合でも頑張りたい」

試合後は大勢のマスコミに囲まれ、歩くこともできなかった。

その迫力に圧倒されて、表情を緩めることもできなかった。サントスの、そしてブラジルのスターになった瞬間だった。

先月末にブラジル入りし、15日にようやく就労ビザを取得。公式戦出場の資格を得たばかりで、まだブラジルのサッカーに慣れていない。本場の厳しいサッカーに接する機会がなかったにもかかわらず、いきなりブラジルで結果を出した。

サントスのレオン監督は「前園は交代出場すると、時間を惜しまずに、すぐに得点した。観光で来ているわけではないことを証明できた」と満足そうだった。

サントスにとっては、この試合で勝てば首位浮上、引き分ければ2位のまま、負ければ4位転落という重要な一戦だった。

同僚のDFサンドロは「前園は自分のプレーに自信を持っている。サントスでもびびっていなかった。すごい」と感心していた。

海外で、しかもここ一番の重要な試合に強いことを証明した前園。昨年から続いた不振を吹き飛ばし、復活のきっかけをつかんだ。世界への飛躍が始まった。