[ 2014年2月13日9時1分

 紙面から ]<ソチ五輪:ジャンプ>◇11日◇女子ノーマルヒル(HS106メートル、K点95メートル)

 高梨沙羅(17=クラレ)は飛距離換算で銅メダルに1・1メートル差、金メダルには2・2メートル差。ノーマルヒル特有の僅差で勝負を分けたが、データは明確な敗因を物語っている。

 まずは助走速度。生身の体で時速約90キロを滑る中、スキー板の中心にしっかり重心を伝え、速度を上げることで飛距離につなげる。高梨の2回合計の速度は30選手中24番目、トップ10でも下から2番目の遅さ。ソチ入り後に「(助走路で)自分のポジションに乗れていない」と話していた不安が的中した。

 次に風。1回目は0・36メートル(毎秒)、2回目も0・22メートル(同)の、ジャンプでは不利な追い風を受けた。この数字は30選手中2番目の不運さで、上位が飛ぶ際に不思議と高梨の時だけ強い追い風が吹いた。一昨季から採用されたウインドファクター(WF)で5点(2・5メートル分)が加算されたが、たとえWFで減点されても向かい風なら、その減点分を補える距離を稼げたかもしれない。

 最後は飛型点。昨季から課題に挙げ、克服したかに思えたが大一番でテレマークを入れられず2回合計101・0点。今季W杯で普通に出していた54点なら合計108点となり、金メダルのフォクトを抜いていた。追い風の中、懸命に飛距離を伸ばしたため、不安定な姿勢では着地を決められなかったようだ。