ブノワヘッドコーチ率いる自転車トラック短距離チーム「ブノワジャパン」の快進撃が始まった。10月に開幕したUCIトラックワールドカップ(W杯)第1戦(フランス・パリ)で、日本のエース脇本雄太(29=福井)が金メダル。第2戦(カナダ・ミルトン)でも決勝に進み、早くも来年の世界選手権出場が見えてきた。女子でも小林優香が奮闘。着実に世界の頂点に迫っている。

ブノワ・ベトゥヘッドコーチ(左)と金メダルを獲得した脇本雄太
ブノワ・ベトゥヘッドコーチ(左)と金メダルを獲得した脇本雄太

シーズン序盤のトラック界に、ワッキー旋風が吹き荒れた。第1戦男子ケイリンで、脇本にとって2度目となるW杯金メダル。「冷静に立ち回って実感できる優勝ができた」。今やケイリンでは確実にメダルが計算できる選手だ。

さらに、ワッキーが自信を深めたのが第2戦だった。リオ五輪金のジェイソン・ケニー(英国)同銀のマティエス・ブフリ(オランダ)がいる超ハイレベルなメダル争いだった。準決で2人と激突した脇本は、ブフリに次ぐ2位で決勝進出を決め、ケニーに先着を果たした。決勝は6位だったが「パリより強烈なメンバーだったが、五輪につながるいい戦いができた」と、メダル以上の価値、意義を強調した。そして「差はあるが覆せない距離じゃない。五輪のメダルにいいところにいるんじゃないか」と言い切っていた。

2戦での好成績を受け、ワッキーは早くも来年の世界選手権を見据えて3、4戦を回避することになった。これは世界のトップレーサー並に、余裕を持ったローテーションが可能になったことを意味している。

女子では小林優香が飛躍した。小林は太田りゆとともにスプリントとケイリンに参戦して、スプリントは1、2戦とも予選をクリア。第1戦では1/8決勝まで進んでいる。これにはブノワHCも「今の2人の持ちうる力からすれば及第点。これまでスプリントについては予選突破もままならなかったことを考えると、健闘していると言わなければならない」と手応えを語る。小林自身は「まだまだ。1/4決勝には行かないと。タイムも10秒6くらいは出したい」と先を見据えた。

現状に甘んじてはいないブノワジャパンは2年後、東京での頂点へ、間違いなく歩みを進めている。