なおみが世界女王だ! 世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)が、男女を通じて日本人初の全豪シングルス優勝の快挙を達成した。

同6位のペトラ・クビトバ(チェコ)との頂上決戦を7-6、5-7、6-4で制し、28日発表予定の最新世界ランキングで、男女を通じてアジア初のシングルス世界1位も確定した。18年全米に引き続き4大大会2大会連続優勝も、14年全米から4大会連続で制したS・ウィリアムズ(米国)以来となり、ついに世界の女子テニスに大坂時代が幕を開けた。

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勝利の瞬間、ベースラインで、ラケットを支えに、背中を丸めしゃがみ込んだ。センターコートを埋めた超満員1万5000人の歓声と拍手が、大坂の全身をつつみこむ。約5秒間、勝利の余韻をかみしめると、大坂は顔を上げ、歴史的な握手に歩を進めた。

18年全米の優勝スピーチは、涙で声が震えた。しかし、この日は、「泣きそうになった。でも、ここで泣いちゃいけないって」。ただ「メモを読んで(覚えた)けど忘れちゃった」と、なおみ節で世界を笑いの渦にたたき込んだ。

優勝の銀のトロフィーは、李梛(中国)から受け取った。14年全豪覇者で、同年にアジア最高位の世界2位にまで上り詰めたアジアのレジェンドだ。アジアの女王から、しっかりと歴史を伝授され、「本当に光栄」と、28日にアジア初の世界1位に輝く。

最初から最後までなおみ劇場だった。喜び、集中し、叫び、勝ちに向かってひた走った。まさに、たった1人の主役で、その演出は大胆かつ繊細だった。両者ともに、強烈な第1サーブを持つ。だからこそ、第2サーブでどれだけ得点できるかがせめぎ合いだった。ここで、大坂は、普段、あまり使わない滑って逃げるスライスサーブを多用した。

通常使う縦回転のスピンサーブだと、安全だが、バウンドが跳ねるためリターンをたたかれる。そこで、滑るサーブで相手のリターンを封じた。それを大胆に攻め、繊細にコントロールした。まさに隠し玉だった。

先手必勝も健在だった。第1セットを先取したら、約2年間、負けなしは、この日も生きていた。これで67連勝。ただ、3本のマッチポイントを逃して第2セットを落とし、迎えた最終セットは「空洞だった。ロボットみたいに命令を実行していただけ」。それでも勝利をもぎ取った。

14年全米から4大大会4大会連続優勝を誇ったS・ウィリアムズ(米国)以来の4大大会2大会連続優勝だ。ただ、「疲れ果てた」。それでも、「姉に会って、誰が世界1位の選手か当ててみてって言ったら、実感できるかな、私って」。ついに大坂の時代が幕を開ける。【吉松忠弘】