【上海(中国)=松熊洋介】E組で、13年ぶりに出場の日本(世界ランキング48位)は初戦でトルコ(同17位)に67-86で完敗し、黒星発進となった。2日前からの発熱で午前の練習を回避した大黒柱の八村塁(21=ウィザーズ)が精彩を欠いた。症状は軽く、微熱だったというが、厳しいマークにも遭い15得点と振るわなかった。開催国枠で出場する来年の東京五輪に向けても、厳しい現実を突きつけられた。5日の第3戦ではW杯3連覇を目指す王者・米国(同1位)との試合が控える。1次リーグ突破へ、3日のチェコ(同24位)との第2戦は負けられない一戦となる。

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来ると分かっていたが、マークは予想以上だった。八村は15得点しか奪えなかった。よほど悔しかったのか、普段は取材にしっかり応じるが、取材エリアでは問い掛けに振り向きもせず、うつむきながら控室に消えた。コメントはTVのインタビューだけだった。

八村封じに策を練り、序盤から勝負をかけてきたトルコに対応できなかった。開始からマークがきつく、得点どころかシュートさえ打てない。第1Qはフリースローの4得点だけ。複数の選手に囲まれた。強力な包囲網に「明らかに僕のやりにくいプレーをずっとしてきた」。他の選手もカバーできない。田中も「思った以上に、塁が嫌がるディフェンスをしてきた。まわりがもっとバックアップしないと」と反省した。

唯一の見せ場は第2Q終盤。同じNBA所属の相手をはじき飛ばし、左手で豪快なダンクを決めて会場を沸かせたが、それ以外でエースの役割は果たせなかった。「負けてしまったので、何とも言えない。自分も何もできなかった」。格上ドイツに逆転勝ちした8月24日の強化試合で両軍最多の31得点と躍動した姿には、ほど遠かった。試合2日前からの発熱も少なからず影響した。この日は午前の練習をキャンセル。万全ではなかった。4人きょうだいの長男。日本代表でも、最年少でありながら“長男”のように常に「自分がチームを引っ張る」と意気込んだが、空回りした。

8月の国内での強化試合は2勝3敗と負け越したものの、出場した4試合でチーム総得点の約3割を奪うなど絶好調だった。だが、その八村が不発で、あっさり世界の壁に跳ね返された。それでも、篠山は「攻撃ではノーマークができる時間帯もあった。得点に結び付けたら、もっと伸びる」と前を向く。次戦は3日チェコ戦。敗れれば1次リーグ突破は絶望的で、八村頼みの状況は変わらない。「しっかり切り替えて、直せるところは直して臨みたい」エースの復活で欧州勢からの初勝利をつかみ、望みをつなぐ。