23年ぶり早明決勝を、96年度の両校主将が感慨深く見守った。早大の中竹竜二氏(46)は「前半から気持ちが前面に出て、つながっていた」と評価し、明大の松本幸雄氏(45)は「まさかの前半も後半は地力を感じた。雰囲気も内容も素晴らしかった」とたたえた。

ともにフランカーでトイメンだった。明大32-22早大。記憶は「認定トライ」と口がそろう。対抗戦が物議を醸した認定で決着し、因縁の決勝でも3点リードの明大が後半40分の認定トライで突き放した。松本氏は「力でねじ伏せた」と納得し、中竹氏は「悔しくて受け入れるのに時間はかかったが、やり切った」。伝統校の意地がぶつかった。

1年間も特別だった。早大は3年まで出場ゼロの中竹氏が主将に。しごきで土を食わされ、血尿を出してきた男のために仲間が団結して決勝にはい上がった。明大は北島忠治元監督が亡くなり、喪章代わりの黒えりを着けて頂点に立った。

後に中竹氏は監督になり選手権2連覇。07年は明大に71-7の最多得点差で圧勝したが、翌年は対抗戦6位と低迷した明大に22-24で負けた。「国立の早明戦には魔物がすむ。今日も明大有利とはいえ勝機はある」と見ていた。自身以来11大会ぶりの日本一だった。

中竹氏は現地解説、松本氏は所用のためテレビで見た。前者は「W杯の盛り上がりを早明、東海、天理の大学勢が受け継いでほしい」。後者も「23年前の人気を思い出した。W杯後の日本ラグビーを大学界から盛り上げてほしい」。最後も声がそろった。【木下淳】

◆早大ラグビー部 1918年(大7)11月7日に創部。優勝は関東大学対抗戦23回、大学選手権16回、日本選手権4回。87年対抗戦で、明大との「雪の早明戦」は名勝負として今も語り継がれる。大学選手権優勝時だけ第2部歌「荒ぶる」を歌う。相良南海夫監督。主なOBは堀越正巳、五郎丸歩、布巻峻介、山中亮平ら。