高校2年の横井きな結(ゆ、16=中京大中京)が初優勝した。負傷明けで納得いく演技ができなかったという状況下、フリー1位の90・11点。首位発進していたショートプログラム(SP)の56・02点と合わせて146・13点で頂点に立った。

愛するシリーズの「ハリーポッターと賢者の石」を舞ったフリー。「夏休みの終わりに肉離れしてしまって…」と8月31日の練習中に右足の内転筋を負傷しており「ジャンプの練習を再開したのが1週間前くらいでした」と、まだ整わない感覚に苦しみながら演技した。

「アクセルの練習はしていません」と、冒頭はトリプルアクセル(3回転半)を回避してダブルアクセル(2回転半ジャンプ)からスタート。中盤も予定していた3回転のループやルッツが1回転になるミスが続き「練習から出遅れてしまいました。SPはノーミスでいけたけど、フリーはまだノーミスの自信がついていない。ミスすると最後まで引きずってしまう」と反省した。

それでも、まだシーズン序盤だ。まずは、姉ゆは菜(21=中京大)も制してきた「スケート王国」で行われた中部選手権のジュニアで優勝した。今季最大の目標は、全日本ジュニア選手権で上位に進出しての、推薦での全日本選手権出場。「今の状態だと目指せる位置にないと思うので、もっと練習したい」としながらも「全日本ジュニアで成績を出して、世界ジュニアも狙っていけたらなと思っています」と意気込んだ。

姉との全日本出場について「一緒に、とか話してはいるんですけど、純粋に経験してみたい。会場は、さいたまスーパーアリーナ。今年は北京オリンピック(五輪)の選考会でもありますし、会場の雰囲気とかも体験してみたい。自分にとって、これからにつながるんじゃないかなと思うので」と、さらなる成長のために国内最高峰大会を狙う。

東京五輪ボクシング男子フライ級で銅メダルを獲得した田中亮明(岐阜・中京高教)のいとこで、大会中は姉と応援した。元世界3階級王者の田中恒成も同様で、いつも励みになる。一方で身近には、刺激になる存在が目の前にいる。

今季シニアに転向し、北京五輪を目指す松生(まついけ)理乃(16)は高校の同期。昨年度は同じクラスで、今年は別の組だが「勉強面でもすごく助けてもらってますし、スケートもノービスから一緒に戦ってきました。同い年なのに、ほど遠い存在。今年から世界で戦おうとしています。私は追いかける立場ですが、いつか一緒に戦えるようになりたいと思います」。自身はジュニアでトップを目指し、その足がかりとなる中部選手権をまずは1位通過した。【木下淳】