B1秋田ノーザンハピネッツのBリーグ王者への挑戦が始まる。今日2日に昇格組の茨城ロボッツと今季開幕戦(CNAアリーナ★あきた)に臨む。秋田・仙北市出身の田口成浩(31)が、昨季リーグ王者の千葉ジェッツから4季ぶりに古巣復帰。前田顕蔵ヘッドコーチ(HC、39)からも躍進のキーマンに指名される男は「秋田のために自分ができることを死に物狂いで頑張ります」と宣言。愛するチームで新たな歴史を刻む覚悟だ。【取材・構成=山田愛斗】
帰ってきた“ウルトラアキタマン”だ。4季ぶりに復帰した田口が、18年5月20日のB2プレーオフ、ライジングゼファー福岡戦以来、1231日ぶりにピンクのユニホームをまとい、ホームコートに立つ。前田HCは「シューターとしての役割はもちろん、地域に対する影響も非常に大きい。秋田をより盛り上げてくれると思います」と期待を寄せる。「これまでの限界を超える」「最強」の思いが込められたチームスローガン「ウルトラアキタ」を背番号「5」が先頭に立って体現していく。
田口 地元秋田でバスケットができることは幸せですし、ワクワク、ドキドキしています。ここにもう1回立たせてもらえることに感謝の気持ちを持って、一生懸命にやっている姿を皆さんに見せたいです。
秋田は昨季、強豪が集う東地区7位で、リーグ王者を決めるチャンピオンシップ(CS)進出を逃した。それでも28勝31敗、勝率4割7分5厘はB1最高成績。19-20年にマークした過去最高の19勝、勝率4割6分3厘をいずれも上回った。今季は主力が残留し、昨季B1スチール王の川嶋勇人(31)、シューターのジョーダン・グリン(32)、212センチ、116キロのビッグマン、コルトン・アイバーソン(32)と、田口のほかにも3人のタレントが加入。優勝に向けて過去最強メンバーがそろった。
田口 優勝は簡単ではないですし、自分も昨季、優勝させてもらいましたけど、本当に苦悩がたくさんありましたし、本当に難しいと感じました。(優勝に)一番必要なのはチームがひとつになること、いかにひとつのことにみんなで向かっていくか。自分が積極的にコミュニケーションを取って「ひとつになろうよ」と声をかけながらやっていきたいです。
田口はbjリーグ時代の11-12年に秋田に入団し、今季を含めると計8季目となる。Bリーグ開幕初年度、16-17年のリーグ戦は60試合すべてで先発し、平均プレー時間は32分25秒。17-18年(B2)も60試合出場(先発40)で同25分28秒と絶対的な存在だった。B1昇格を置き土産に18-19年から千葉へ移籍した。
新天地1年目は59試合出場(先発1)も、コートに立つ時間が前シーズンから10分以上短くなり同14分59秒。コロナ禍で40試合で打ち切りになった19-20年は全試合で先発し、同21分57秒。昨季は49試合出場(先発3)、同9分55秒と特に苦しんだ。千葉での3季は順風満帆ではなかったものの、自身の決断に後悔はない。
田口 (千葉では)良くも悪くもいろんなことを経験させてもらいました。もちろん、チャレンジしてなかったら、こういう経験はできなかったので、本当に有意義な3年間だったと思います。
忘れられない光景がある。千葉移籍後、初めて秋田ホームに乗り込んだ18年12月22日。半年前まで味方だった熱狂的なブースターから洗礼を浴びた。「最初のフリースロー(FT)のときに人生で一番激しいブーイングで、あれは効きましたね。外したので鮮明に覚えているぐらいです」。FT4本中2本を外した。
千葉在籍時のFT成功率は「秋田戦が一番悪かった」と振り返り「あれが秋田のパワーだなと。毎回(強烈なブーイングを)やられたら、相手はどれだけ嫌だろうなと今でも思います」。今季から再び心強い援軍と共闘。「幸せでしかないですね。早く試合がしたいです」と心待ちにする。
秋田は過去3季ともに3点シュート(3P)の成功率が課題だった。昨季は31・8%で20チーム中18位、19-20年は30・6%で18チーム中最下位、18-19年は30・7%で同17位。3Pを得意にする田口は過去5季で成功率40%以上を3度記録している。「確率が高ければ高い方がいいので、不可能な数字ではあるが、100%を目指しながら、確率をどんどん上げられるように努力し続けたい」。シューターとしての役割を果たしつつ、1番に掲げるのは「全試合、けがなくチームに貢献することが自分の目標です」と、フル回転を誓う。
田口 地元秋田が大好きなので、どうすれば、もっともっと盛り上がり、全国に知ってもらえるかを常に考えています。バスケットで結果を残して勝つことはもちろん、自分ができることを探していきたいです。
最強の秋田愛を誇る田口が、秋田を最強チームへと押し上げる。
◆田口成浩(たぐち・しげひろ)1990年(平2)3月25日生まれ、秋田県仙北市出身。小学3年からバスケットボールを始め、小学4年から角館中3年時までは野球をメインに打ち込んだ。明桜(秋田)で再びバスケットに注力。富士大(岩手)を経て12年にチーム創設2年目の秋田(bjリーグ)に入団し、17-18年までプレー。18-19年に千葉移籍。今季から2年契約で4季ぶりに復帰した。184センチ、84キロ。


