全日本ジュニア王者の三浦佳生(かお、16=東京・目黒日大高)が、シニアの主要国際大会で3位に入った。

ショートプログラム(SP)3位で迎えたフリーは、4回転ジャンプ3本を着氷させて162・70点。合計251・07点とし、SP、フリー、合計の全てで自己ベストを更新した。20年のソウル大会で3位に入った鍵山優真(18=オリエンタルバイオ/星槎)に続き、ジュニアが主戦場の日本男子が表彰台に立った。

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フリー前日、三浦は脚の肉離れに見舞われたという。それでも16歳はめげない。疲れが出る演技後半。美しく降りきった4回転トーループには、出来栄え点で5点をつけたジャッジがいた。「今季はジュニアの選手。シーズン始まった時には、4大陸に出られると全く思っていなかった」。その潜在能力の高さを世界の関係者に示す形となった。

初々しい様子で臨んだ上位3人の記者会見で、最も印象に残る言葉があった。「ジュニアとの違い」を問われた際の、答えだった。

「まず、皆さんスケーティングがすごく上手で、1歩1歩が伸びる。(2位の友野)一希くんも、(優勝したチャ・)ジュンファン選手もすごい」

似た感想を2年前にも聞いた。

新型コロナウイルスの陰が少しずつ大きくなっていた2020年2月。同じくジュニアが主戦場だった鍵山が3位に入った。今の三浦と同じ16歳、高校1年の冬の出来事だ。フリー一夜明けの取材で、鍵山が少し興奮気味になって言った。

「シニアの選手と比べると、まだまだ自分は滑らかさが足りない。自分が『スケーティングうまいな』って思ったのが、中国のハン・ヤン(閻涵)選手。『本当にこんなに滑るんだ』っていうぐらい滑っているので『すごくまねしたいな』と思いました」

鍵山は翌シーズンにシニアへ転向し、世界選手権2位。今季は北京五輪代表3枠入りを果たした。あの日に見た「シニアの滑り」を、自らが見せる側へと成長している。

大舞台でのトップ選手の演技には、間近で見るからこそ得られる、選手同士だからこそ、わかり合えるものがあるのだろう。4大陸選手権は昨季、新型コロナウイルスの影響で中止となった。大会が開催されたことの価値をかみしめると同時に、来季以降の三浦の進化が楽しみの1つになった。【松本航】