世界5位のラファエル・ナダル(35=スペイン)が、4大大会男子シングルス単独最多21度目の優勝の快挙を達成した。

同2位で、全豪初優勝を狙ったダニル・メドベージェフ(25=ロシア)に2-6、6-7、6-4、6-4、7-5の試合時間5時間20分を超える激戦の末に、大逆転で09年以来13年ぶり2度目の優勝となった。「テニス人生でも忘れられない試合となった。信じられない。またテニスができるかどうか分からなかったが、優勝できた。本当にありがとう」。

マッチポイントは、現地時間31日の午前1時すぎに訪れた。2日がかりの激戦は、ネットに出たナダルのバックボレーで幕を閉じた。ネット際で、体が動けず、笑顔だけで棒立ちのナダル。両手で顔を覆い、新たな歴史に浸った。

不屈の闘志と、どんなピンチになろうが決して諦めない世界で最もタフな男が、ついに男子では前人未到の頂にたどり着いた。5時間を超える今大会最長試合に加え、ナダルの長いテニス人生でも過去3回しかない2セットダウンからの大逆転だった。

メドベージェフの得意な速い展開を避け、リズムを落として相手の攻撃を封じた。最初の2セットは、相手も体力的に動けたため、追いつかれたり、打ち込まれた。しかし、球に順回転、逆回転をかけ、振り回すナダルに、相手がじわじわとわなにはまった。

全仏13度の優勝を誇り、最もタフな男と言われたナダルも35歳。昨年は全仏5連覇を逃し、東京オリンピックは体のことを考え欠場。背中や足の故障で、8月を最後にツアーから離脱した。12月下旬には新型コロナウイルスにも感染した。

それでも、決して諦めなかった。「最後の全豪だと思って挑んだ。だけど、まだまだ頑張ろうと思う」。今大会前に、ジョコビッチが国外退去になる騒動が起こった。ナダルは「ジョコビッチがいようがいまいが、全豪が最高の大会になる」と強調した。そして、今、その言葉を自らの優勝で証明した。

◆全豪オープンテニスはWOWOWで全日生放送、WOWOWオンデマンドとテニスワールドで全コートライブ配信される。