昨夏の東京オリンピック(五輪)で金メダルを獲得した永瀬貴規(28=旭化成)が、豪快な一本勝ちで通算6度目の優勝を飾った。
五輪後、初戦。1回戦から持ち味の組手で相手を寄せつけず、反則勝ち、技あり(大外刈り)で勝ち上がる。決勝では、今年2月のグランドスラム(GS)パリ大会で優勝した藤原崇太郎(23=旭化成)の挑戦を受けたが、延長戦の末、大外刈りで豪快に投げ切る一本勝ちで復帰戦Vを果たした。
「私の柔道を、持ち味の粘り強さを出せました。決して技が切れるような選手ではないですが、自分なりに勝つ戦術は組み立てているので。(決勝では)序盤から後手後手になってしまいましたが、ワンチャンスを仕留められて良かった」
16年リオ五輪で銅、東京大会で借りを返す金メダルに輝いた。「直後は休みたい思いもありました。1つの夢をかなえた後、なかなか切り替えることができなくて」。そう言いながら体は反応した。「私自身、体を動かすことがすごく好きなので。(五輪後)すぐ道着を着て汗を流して、楽しむような形で練習を再開していました」という。
金メダルを手に報告で回った先々でも、喜んでくれる人たちに会い、自身への期待を再実感した。それが24年パリ五輪で2連覇を目指すことに、つながる。「同じ所属の大野(将平)選手(東京五輪73キロ級で2連覇)にも相談したり、一緒に過ごす中で背中を見て、学んで。今のモチベーションはパリで連覇するのみ」とスイッチが入った。そして、選抜体重別では今回を含め、出場した6回すべて優勝と格の違いを見せつけた。
先月24日には、母校・長崎日大高の先輩であるサッカー日本代表の森保一監督(54)が7大会連続となるワールドカップ(W杯)出場を決めた。「他競技ですが、地元の大先輩が活躍されている姿は、とてもいい刺激になっています。ともに世界で活躍できるように頑張りたい」。大会後の強化委員会をへて、自身も10月の世界選手権(タシケント)代表に選ばれた。11月に開幕するサッカーW杯カタール大会と同様、今秋に再び海外列強と対戦する。
その先には、前言通りパリ五輪への道が続く。「2連覇は高い高い壁ですが、日々向上していって必ず成し遂げたい」。東京五輪を経験し「自信を持つことができましたし、冷静に把握をしながら、以前より試合できるようになった」という王者の進化は、まだとどまることを知らない。【木下淳】


